国内TVメーカーにはどう見えるのか? 工学院大が“真の超解像技術”で4K映像を8K化:ディスプレイ技術(1/2 ページ)
工学院大学 情報学部情報デザイン学科 合志清一教授の研究グループは2013年10月24日、4K(3840×2160画素)映像を8K(スーパーハイビジョン/7680×4320画素)相当の映像に変換する超解像技術を開発したと発表した。同研究グループでは、「4Kを8Kへと変換可能な超解像技術の開発は、世界初」としている。
工学院大学 情報学部情報デザイン学科 合志清一教授の研究グループは2013年10月24日、4K(3840×2160画素)映像を8K(スーパーハイビジョン/7680×4320画素)相当の映像に変換する超解像技術を開発したと発表した。同研究グループでは、「4Kを8Kへと変換可能な超解像技術の開発は、世界初」としている。
2012年に2K→4K変換用超解像技術を発表
同研究グループは2012年12月に、2K(フルハイビジョン/1920×1080画素)の映像を、4K相当の映像に変換する独自超解像技術を発表(関連記事:「理論限界を超える高精細化を実現」、4Kテレビ向け超解像で工学院が新提案)し、今回はその独自超解像技術を「4K→8K変換」に適用したもの。
同グループが開発する独自超解像技術について合志氏は、「従来の理論限界値を超える高精細化を実現する技術であり、これまでにない鮮明な高解像度画像を生成できる」と説明。非線形信号処理を施し、ナイキスト周波数*)を超える高精細成分を作り出す技術だという。合志氏は、「一般的な高画質化処理に用いられるエッジ強調処理とともに映像信号に、ひずみを与えることで、元の画像に存在しない成分、すなわち、ナイキスト周波数を超える成分を作り出し、高解像度化を実現している」とする(詳細な技術説明は上記関連記事を参照)。
*)ナイキスト周波数:アナログ画像をデジタル画像に変換する工程で標本化を施す際、サンプリング周波数(標本化間隔の逆数で、解像度に相当する)の1/2に相当する周波数のこと。
既存技術は「エッジ強調処理を行っているにすぎない」
超解像技術は、既に市販されているテレビにも搭載される技術だが、合志氏は「テレビに搭載されている超解像技術は、高解像度化ではなく高画質化であるエッジ強調処理を行っているにすぎない」と強調する。
市販テレビにも採用される超解像技術の1つに「再構成型超解像技術」がある。再構成型超解像技術は、映像を構成する複数の画像(フレーム)から、解像度の最も高い部分を抜き出して組み合わせて解像度を高めるという仕組みだ。だが、合志氏は「いくら低解像度のボケだ画像を集めてきても、元の画像を上回る解像度は生まれない。音に例えるなら、テノール、バリトン、バスをたくさん集めてもソプラノの音を作れないのと同じ。再構成型超解像で高解像度化するには、同じ所を行ったり来たりして撮影するようなカメラワークなど現実的でない条件が必要であり、処理も膨大でリアルタイム処理は行えない。そして、高解像度化効果もわずかだ」という。
独自の超解像技術が、従来の超解像技術と一線を画すとする根拠の1つとして、2次元フーリエ変換結果の比較を明示する。
「図1」は元のデジタル画像を縦横2倍に拡大した画像で、「図2」はそれに従来技術を施したもの、「図3」は工学院大学が提案する新技術を施したものである。各図の下に示されているのは、周波数スペクトラムの分布が読み取れる2次元フーリエ変換の結果。赤色の四角い枠はナイキスト周波数を示しており、EE Times Japanが書きこんだ (クリックで画像を拡大) 出典:工学院大学
従来技術で処理した映像信号の周波数スペクトラム分布は、処理前の画像とほぼ同じ分布で、ナイキスト周波数内に収まる結果となる。一方で、同研究グループの独自超解像技術で処理した画像の分布は、元画像の分布より大きく広がり、ナイキスト周波数の域を超えていることが確認できる。これにより、元の画像には含まれないナイキスト周波数を超える高精細成分を生成しているということがうかがえる。
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