百戦錬磨のエンジニアが教える、「開発コストを減らす4つのコツ」(前編):いまどきエンジニアの育て方 ―番外編―(1/2 ページ)
開発費の削減と開発期間の短縮。この2つはエンジニアにとって逃れられない命題となっている。開発費を削減されたからといって、設計する製品の性能を落とすわけにはいかない――。こうしたジレンマを乗り越え、従来機種に比べて半分の開発費と開発期間で新機種を開発したチームがある。このチームを率いた開発部長A氏とは、いったいどのような人物なのだろうか。
製造メーカーの開発部門は、特にここ数年、開発費の削減はもちろん、開発工数の低減などあらゆる場面でコスト削減を余儀なくされている。
コスト削減におけるエンジニアの責任は大きい。
製造の上流工程に位置する開発部門のエンジニアの思想一つで、搭載する部品選定まで与える影響が大きいからだ。
選択した部品や設計思想が設計部門にとってベストであっても、製造部門にとっては必ずしもベストとならないこともある。部品コストは安いものの、自動搭載ができない*)、組み立て配線に時間がかかるなど、製造コストがかさんでしまう場合がある。
*)安価な部品の中には、耐熱性の問題で自動搭載ができないものや、後でハンダ付けするしかないものがある。
さらに、エンジニアにもさまざまなタイプがいる。製品の性能を出すために、最後は回路のチューニングで仕上げるエンジニアもいれば、回路が一体化されている市販品のモジュールをそのまま使うエンジニアもいる。前者の場合は、性能出しをするための調整コストがかさむ。後者の場合は、調整は不要だが、部品そのものが高価なケースがほとんどだ。
一般に、社内的に大量かつ標準的に使う部品は“標準部品”として在庫として保有しているケースが多く、設計標準が進んでいる会社においては、「部品の選定は“標準部品”から選べ!」が鉄則である。エンジニアからすれば、設計の自由度が下がるという不満も出ることもあるが、この鉄則が適用されないものは、「標準部品では要求された性能を出せない」など、明確な理由が問われるのである。
エンジニアは、部品選定1つとっても、材料費や加工費を常に意識する必要があるのだ。
さて、多くのエンジニアがコスト削減と設計の要件の間で試行錯誤する中、これらの課題に積極的に取り組み、ある製品を開発したチームがある。残念ながら社名を出せないのだが、大手製造メーカーX社のこのチームは、ある製品の後継機種を、前世代品の半分の開発費と開発期間で市場に投入した。このチームを率いていたのが、開発部長のAさんだ(これまた名前を公表できないのが、非常に残念である)。彼は、いったいどんなマジックを使ったのだろうか?
その種明かしをする前に、まずはAさん自身について少し紹介しておきたい。
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