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「不良率を5年で94%削減」、マキシムが車載事業拡大に向け品質向上に取り組む車載半導体

車載事業拡大に向けた取り組みを進める大手アナログICベンダーのMaxim Integrated Products(マキシム)。「欠陥ゼロの精神」のもと出荷品質の向上に努めており、2013年の不良率は、2008年比で94%減って、数ppmのレベルまで低減できているという。

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マキシムが車載事業拡大に向け品質向上に取り組む

 大手アナログICベンダーのMaxim Integrated Products(以下、マキシム)は2013年11月14日、東京都内で記者会見を開き、車載事業拡大に向けた取り組みについて説明した。

 マキシムは、近年の注力事業の1つとして車載分野を挙げている(関連記事:Maximが車載分野に注力、「高集積アナログICで顧客の製品開発に貢献」)。同社の通信およびオートモーティブソリューショングループを統括するシニア・バイスプレジデントのMatthew Murphy氏は、「当社の直近12カ月の売上高は24億4000万米ドル(約2437億円)。このうち、産業・医療・車載の3分野合計の売上高比率は26%ある。車載分野の比率はまだ大きいとは言えないものの急成長している。この調子で成長すれば、独立した1つの事業分野として売上高比率を報告できるだろう」と手応えを感じている。

左側の写真はマキシムのMatthew Murphy氏。右側の図には、マキシムの売上高推移と、2013年の事業分野別の比率が示されている(クリックで拡大) 出典:マキシム・ジャパン

 IHS iSuppliの調査によると、車載機器向けアナログICの市場規模は、リーマンショック前の2008年時点で約60億米ドルあったが、その後堅調に成長しており、2017年には100億米ドルを突破するという。「もはや、スマートフォンを含めたモバイル機器向けアナログICと同等の市場規模だ。最近の自動車は通信機能を備えるようになったこともあってか、モバイル機器の技術が積極的に採用され始めている。当社としては、高い実績を持つモバイル機器向けアナログICの技術を活用して、車載機器向けに最適な機能と品質を持った製品投入することで、堅調に成長している車載機器向けアナログIC市場で売り上げを確保していく考えだ」(Murphy氏)という。

車載機器向けとモバイル機器向けのアナログICの市場規模推移
車載機器向けとモバイル機器向けのアナログICの市場規模推移。黄色のグラフが車載機器向け、緑色のグラフがモバイル機器向けとなっている(クリックで拡大) 出典:マキシム・ジャパン

「欠陥ゼロの精神」

 Murphy氏とともに来日したのが、マキシムの製造部門担当シニア・バイスプレジデントを務めるVivek Jain氏だ。Jain氏は、車載事業で成功するための半導体製造における鍵として、「技術的リーダーシップ」、「欠陥ゼロの精神」、「顧客満足度」の3つを挙げた。

マキシムのVivek Jain氏(左)と車載事業で成功するための半導体製造における3つの鍵(クリックで拡大) 出典:マキシム・ジャパン

 技術的リーダーシップの代表例となるのが、アナログICの集積技術である。携帯電話機向けの5つの機能を集約したプリント基板を競合他社品で組んだ場合、部品点数が199個、ボード面積が199mm2になるのに対して、マキシムのアナログICを使えば、部品点数を62個、ボード面積を104mm2に減らせるという。また、アナログICの前工程工場で、180nmプロセスや300mmウエハーを採用したのも同社が初めてだとしている。

携帯電話機における高集積化の事例
携帯電話機における高集積化の事例。左側が競合他社品を使ったもの。右側がマキシムのアナログICを使ったものである(クリックで拡大) 出典:マキシム・ジャパン

 欠陥ゼロの精神については、「たった1つの欠陥が安全に関わる問題に発展する可能性がある車載分野では極めて重要」(Jain氏)とし、出荷品質の向上に取り組んでいる。2013年の不良率は、2008年比で94%減って、数ppmのレベルまで低減できているという。

出荷品の不良率を低減
マキシムは2008年以降、出荷製品の不良率低減に努めている(クリックで拡大) 出典:マキシム・ジャパン

 顧客満足度に向けた施策については、ファウンドリ活用による供給能力の向上が挙げられる。2007年時点ではファウンドリの比率は5%にとどまっていたが、2012年にはファウンドリの比率は45%まで高めた。これに自社工場の生産能力拡張も相まって、供給能力は2007年の2倍以上になっている。

マキシムの前工程の生産能力比較
マキシムの前工程の生産能力比較(クリックで拡大) 出典:マキシム・ジャパン

 ファウンドリとしては、台湾のTSMCやPowerchip Technology、Maxchip Electronicsの他、セイコーエプソンの酒田事業所(山形県酒田市)を活用。Jain氏は、「当社にとって最初のファウンドリパートナーとして信頼関係を構築できていることもあり、車載製品の生産も委託している」と高く評価している。

 これらの施策により、顧客希望納期までの納品率の目標として掲げている90%のラインにかなり近づきつつある。「タイ洪水の影響で一時落ち込んだが、2013年に入って90%の付近まで向上することができた」(Jain氏)という。

顧客希望納期に対する実際の納品率の推移
顧客希望納期に対する実際の納品率の推移(クリックで拡大) 出典:マキシム・ジャパン

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