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電子部品から医療まで幅広い応用が期待される「カーボンナノホーン」をNECが拡販材料技術(1/3 ページ)

NECは2013年から、電子デバイス分野などで次世代材料として注目を集めるナノカーボン素材の一種である「カーボンナノホーン」(CNH)の販売を開始している。あまり耳なじみのないカーボンナノホーンだが、他のナノカーボンよりも優れた特性を多数備え、電子部品分野や医療分野など幅広い分野での応用が期待されている。

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 NECは2013年から、電子デバイス分野などで次世代材料として注目を集めるナノカーボン素材の一種である「カーボンナノホーン」(CNH)の販売ビジネスをスタートしている。

カーボンナノホーンとは?

 カーボン素材は、電気を通しやすく、軽くて、強度があるなどさまざまな特性から、電子デバイスをはじめとしたさまざまな分野で、応用が模索されている。特に、炭素原子のみで構成されるカーボン素材の中でも、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、フラーレンなどが有名だ。一方、カーボンナノホーンはあまり耳にしない素材だろう。

 カーボンナノチューブは、炭素原子が六角形の形で結合され「6員環」が連なって筒状になったものを指す。筒の直径は1〜数十nm程度と小さい一方で、筒の長さは、1〜数十μmにもおよび、直径対長さのアスペクト比が大きい、とても細長い形状となっている。グラフェンは、6員環のシートでカーボンナノチューブを開いたようなもの。フラーレンは、5員環と6員環が合わさった20面体の球状で、まさにサッカーボールと同じ形をしている。いずれもグラファイト(黒鉛)から生成され、形状の違いによって特性が異なる。


各ナノカーボン材料のイメージ (クリックで拡大) 出典:NEC

 カーボンナノホーンも、グラファイトから生成される。その形状は、カーボンナノチューブと似る部分が多く、主に6員環で構成され筒状だ。ただし、筒の先端には5員環が混じるため、角(ホーン)のような形に閉じた円すい状になっている。筒の直径の大きさは2〜5nmと単相(=筒を巻いている層が一層だけ)カーボンナノチューブとほぼ同じ小ささだ。だが筒の長さは40〜50nmとカーボンナノチューブに比べ極端に短く、アスペクト比が小さい。


カーボンナノホーンの概要 (クリックで拡大) 出典:NEC

 さらに、カーボンナノホーンが特長的なのが、この円すい状の形をしたカーボンナノホーンは単独で存在することはなく、必ず、数百本のカーボンナノホーンの集合体として存在する点にある。集合体の形は、球状で多くのカーボンナノホーンがトゲのように飛び出ている“ウニ”のような形をしている。なお、この球状の集合体の大きさは、100nm前後だ。

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