ロケーションなど5分野に注力、CSRがプラットフォーム戦略を展開:ビジネスニュース 企業動向
CSRは、「GPS/室内ロケーション」や「ボイス&ミュージック」、「Bluetooth Smart」など、5つの重点分野にフォーカスして事業を展開する。重点市場に対しては、同社が保有するICチップやソフトウェアの技術を組み合わせ、応用システムごとに機能を統合した「プラットフォーム」を提供している。
CSRは2013年11月29日、CEO(最高経営責任者)を務めるJoep van Beurden氏と会長を務めるRon Mackintosh氏が東京都内で会見し、事業戦略などについて語った。同社は「GPS/室内ロケーション」や「ボイス&ミュージック」、「Bluetooth Smart」など、5つの重点分野にフォーカスして事業を展開する。重点市場に対しては、同社が保有するICチップやソフトウェアの技術を組み合わせ、応用システムごとに機能を統合した「プラットフォーム」を提供している。
同社が重点分野として挙げているのが、上記の「GPS/室内ロケーション」や「ボイス&ミュージック」、「Bluetooth Smart」に、「車載用インフォテインメント」と「イメージング」を加えた5分野である。これらは市場規模が大きく成長率も高い。Beurden氏は、「当社が対象としている市場は、2013年の35億米ドルに対して、2018年には約70億米ドルの規模が予測されている。この間の年平均成長率は13%増である。この成長率は半導体デバイス市場の年平均成長率3〜5%増に比べて大幅な伸びとなる」と話す。
同社は重点市場を確定する際に、明確な数値目標に対する可能性を検討する。「まずは用意したプラットフォームで、対象とする市場で一番手か二番手のポジションを獲得できるか、しかも30〜40%以上の市場シェアを取ることが可能かどうかを考える。その上で、ターゲット市場に対して強力なプラットフォームを提供できれば、事業は拡大し企業を成長させることができる」とBeurden氏は語る。
室内外で5mの位置精度を実現
Beurden氏は、5つの重点分野の中から、3分野についてそのプラットフォームの概要などを紹介した。まず、GPS/室内ロケーションの分野では、専用インフラと既存インフラの両方を使って、屋内外で5mの位置精度を実現していく考えだ。例えば屋外ではGPSを活用する。屋内では無線LANのアクセスポイントや携帯電話の基地局などからの情報を利用して、端末の位置を検出する。MEMSセンサーを使えば室内での動きも追跡することもできる。
同社はGPS/室内ロケーション分野に対して、位置情報処理用エンジン「SiRFstarV」や位置情報プラットフォーム「SiRFusion」を提供している。SiRFstarVは、GPSに加えてガリレオやグロナス、コンパスなどの衛星位置情報を利用することが可能だ。さらに、Wi-Fiなど無線LANや携帯電話の基地局、およびMEMSセンサーなどから位置情報を収集することができるという。
同社はSiRFusionを利用して、東京駅の八重洲地下街で実験を行ったところ、「その誤差は最大5mだった。このシステムをパートナー企業と商品化しようとしているが、その多くは日本企業である」(Beurden氏)と話す。さらに、GPS/室内ロケーション機能は、スマートフォンやデジタルカメラなど、通信機能を備えた携帯機器があれば実現可能だ。紛失した自分の荷物や迷子になった子どもなどを追跡することも容易にできる、と続けた。
ハイエンド市場で80%のシェア
ボイス&ミュージック市場における同社製品のシェアは高い。代表的な応用製品はポータブルオーディオプレヤ―などのストリーミングオーディオ機器である。特に同社の製品はハイエンド市場に強く、Beurden氏によれば、「シェアは80%」という。ストリーミングオーディオ機器全体でも60%のシェアを確保していると主張する。
プラットフォームには、シリコンIPとしてBluetoothやWi-Fi、デジタルアンプなどを、ソフトウェアIPとしてエコー/ノイズキャンセラーやオーディアコーデックなどを用意しており、製品仕様によってこれらのIPを組み合わせて使うことができる。これらIPを組み合わせてシステムを効率よく開発するためのツール製品も提供する。「開発環境も含めて強力なプラットフォーム戦略が同社の強さを支えている」と語る。
「Bluetooth Smart」で「Internet of My Things」を実現
Bluetooth用ICチップの開発は、同社の歴史でもある。ここにきて、あらゆるデバイスをインターネットに接続するための規格「Bluetooth Smart」に対応した機器が登場してきた。Beurden氏は、「5〜6年後にIoT(Internet of Thihgs)が現実のものとなるだろう。その前にInternet of My Thingsを実現する必要がある。そのための規格がBluetooth Smartである」と述べた。
CSRでは、Bluetooth Smart規格に向けたプラットフォームも用意した。無線機能ブロックに加えて、関連ソフトウェアやアプリケーションプロセッサ、パワーマネジメントIC、外部と接続するための各種インタフェースなどからなる。既に、マウスやキーボード、ウェラブル機器などのメーカーと連携して、応用製品の開発作業を進めているという。
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