最難関の「撤収」を鮮やかに乗り切る、11カ条の作業原則:「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(22)(3/5 ページ)
海外企業との協業プロジェクトにおいて、最も難易度が高いのは「撤収」です。撤収作業は、双方に与えるダメージを最小限に抑えつつ、ひそやかに行うことが重要です。それには、どうすればいいのか? 実践編(撤収)となる今回は、ダメージを最小限に抑え、なおかつ自らに何らかの成果をもたらすような、鮮やかな撤収のための11カ条をお伝えします。
(3)撤収の判断時期は「金の切れ目」
どんなプロジェクトであれ、基本的には「金(カネ)」が投入されなければ、継続することはできません。後ろ盾になってくれる事業部や工場が逃げ出してしまった場合も、同様です。
「金(マネー)」はプロジェクトの血液であり、「事業部や工場」はプロジェクトを実施する体(ボディ)です。技術という頭脳(ブレイン)だけでは、プロジェクトを推進できません。
あなたは、あなたが自分で生み出した技術とそのプロジェクトへの深い愛を持っていると思います。しかし、思い出してください。英語に愛されない私たちは、誰よりも「愛だけでは足りない」ということを知っているハズです。
(4)状況のいかんに関わらず「失敗」という言葉を使ってはならない
誰が何と言おうと、プロジェクトに「失敗」という二文字を使ってはなりません。
金銭的な損害はどうにかなる場合もありますが、「失敗」という称呼は、グローバル協業をした会社はもちろん、自分の会社も、幹部から担当者に至るまで、全ての人のプライドをズタズタに傷付けることになるからです。
ここで使うべき代替の表現は、「第一段階の終了」または「一定の目的を達成」です。
(5)プロジェクト開始直後から、プロジェクト撤収のための布石を打っておく
これが一番大切なことになります。
開始直後からの布石とは、例えば上記のような『第一段階』『一定の目的』などという用語を濫用し、定量的な表現は、極力使用を控えることです。
売り上げの数値目標などを表記することは、最低にして最悪の手です。営業部門では避けて通れないかもしれませんが、私たちエンジニアの世界であれば、「数値を記載しなくてもすむケース」が多いはずです。ここで不必要な見えを張るべきではありません。それらの記載は、後々、接収戦において最大の障害となります。
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