ams、BMWに全面採用されるホールセンサーなどを紹介:オートモーティブワールド2014
amsは、「オートモーティブワールド2014」(2014年1月15〜17日、東京ビッグサイト)でBMWなど欧米の自動車メーカーに採用されるホールセンサーなど、独自の強みを持つ車載デバイスの展示を行った。
ams(オーストリアマイクロシステムズ)は、自動車技術の展示会「オートモーティブワールド2014」(2014年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で、2014年4-6月の発売を予定するシフトレバー用の3Dホールセンサー製品などの展示を行った。
amsは、アナログ/ミックスドシグナル半導体メーカーで、過去10年以上にわたり自動車向け半導体製品の展開を積極的に行っている。バッテリマネジメントICや電源IC、ホール式磁気センサーデバイスなどが主力製品群で、これらの製品展開で培うIP群をベースにしたカスタム品の提供も広く行っている。
amsの車載向け半導体製品について同社オートモーティブ部門シニアマーケティングマネージャーのHeinz Oyrer氏は、「自動車分野で要求される高い信頼性、安全性を実現できる点が当社製品の強みだ。ASICに関しても、機能安全規格のISO26262を満たした製品を提供できる」と説明する。
オートモーティブワールド2014では、高い信頼性、安全性を実現するデバイスの一例として、今春発売予定のシフトレバーの位置を3次元で検出するホールセンサーデバイス「AS5403」を参考展示した。AS5403は、外部からの磁場などの影響を受けにくく、安定した位置検出を行える独自のホールセンシング技術を搭載する。同社オートモーティブ部門シニアプロダクトマネージャーのThomas Mueller氏は、「シフトレバーは、絶対に誤動作が許されない絶対的な安全性が求められる用途であり、外部からの影響を受けにくいという点は、AS5403など当社のホールセンサー製品が車載市場で受け入れられている最大の要因だろう」とする。amsのホールセンサーは、BMWの全車種のアクセルペダルの位置検出用途に採用されるなど累計出荷実績3500万個を誇るという。
シフトレバー用に開発したAS5403は、1パッケージに同機能を持ったチップを2つ搭載し冗長性を持つ。「競合品に比べて、大幅に高い安全性、信頼性が実現できる点が評価され、既に日本の自動車メーカーからも引き合いを得ている」(Oyrer氏)とする。
amsはオートモーティブワールド2014でAS5403の他、2013年発売のアクティブセルバランス対応の自律制御型バッテリマネジメント(BM)IC「AS8506」も展示。セルバランスとは、電池セル間の容量を充電状態を均等にする技術であり、アクティブ方式は充電量の多いセルから充電量の少ないセルへ電力を融通する。アクティブ方式とは別に、充電量の多いセルの電力を熱として逃がし充電状態を均一化するパッシブ方式も存在する。アクティブ方式はパッシブ方式に比べ、電力効率が高い半面、実装が難しいという課題がある。
AS8506は、このアクティブセルバランスを容易に実現できる点が特長だという。従来のアクティブ方式のBMICの場合、外部のホストマイコンに処理を大きく依存していたが、AS8506は内部に小型のマイコン機能を搭載し「ホストマイコンなしに自律的にアクティブセルバランス制御が行える」(Mueller氏)。AS8506は、最大7つのセルに対応する。Mueller氏は、「低コストでアクティブセルバランスを実現できるという利点もあり、自動車分野以外にも電動バイク/自転車、電動工具など、あらゆる多セルのリチウムイオンバッテリ搭載用途で商談が進んでいる」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 燃料電池車に再び熱い視線、大手自動車メーカーが次々協業
2013年7月、General Motorsとホンダが燃料電池車の共同開発を発表した。その半年前となる1月には、日産、ダイムラー、フォードも燃料電池車の開発で協業すると発表している。今後ますます厳しくなる自動車の排出ガス基準に対応すべく、燃料電池車への注目が再び高まっている。 - スパンションが車載用半導体の新製品投入を加速――今春にはCPU強化した新車載マイコンを出荷へ
スパンションは、マイコン、アナログ半導体、フラッシュメモリという3つの主力製品分野ともに、自動車向け製品の強化を進めている。2014年1月15〜17日開催の「国際カーエレクトロニクス技術展」(東京ビッグサイト)でも、製品化前の参考出品も含めで各主力製品分野で新製品の提案を行った。 - amsが分散型パワーステージを実現する電源管理ICを開発――スマホでのシェア向上狙う
amsは、高集積型電源管理IC(PMIC)として、パワーステージ(パワートランジスタ部)を簡単な配線で外付けできる製品を開発した。PMICと離れたアプリケーションプロセッサ近傍にパワーステージを設けることができ、発熱を抑えられる。「無駄なパワーステージを持つ必要もなくなり、コスト面でも最適化できるソリューション。この画期的なアーキテクチャで、モバイル機器向けPMICのシェアを一層、高めたい」(同社)。