ルネサスの工場再編にメド、鶴岡工場をソニーに売却:ビジネスニュース 事業買収
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2014年01月29日、子会社ルネサス山形セミコンダクタの鶴岡工場(12インチウエハー製造工場)をソニーの完全子会社に譲渡することで合意したと発表した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2014年01月29日、子会社ルネサス山形セミコンダクタ(山形県鶴岡市/以下、SYG)の鶴岡工場(12インチウエハー製造工場)をソニーの完全子会社ソニーセミコンダクタに譲渡することで合意したと発表した。譲渡額は75億1000万円。2014年3月末に譲渡を完了させる見込み。
譲渡額は約70億円
譲渡するのは半導体製造施設と設備などで、今回の譲渡に伴い鶴岡工場に勤務する約680人のうち8割程度がソニー側へ転籍するという。残りの2割は、鶴岡東工場(5インチウエハー製造工場)などを展開するSYGに残る。
ルネサスでは、現在、鶴岡工場で製造しているシステムLSIについては、譲渡後も2015年10月〜2016年3月までソニー側に生産を委託すると同時に、12インチウエハー製造ラインを持つ那珂工場(茨城県ひたちなか市)へ生産を移管、または、生産終了を行うとしている。また、那珂工場への生産移管については、「現在、一部製品で移管を進め、那珂工場で試作を行っている段階」としている。
譲渡する鶴岡工場は、旧NECエレクトロニクス時代からの主力工場で2004年に稼働し、ゲーム機やテレビ向けを中心に主に民生機器向けのシステムLSIを製造。特に「Wii」や「Wii U」など任天堂の据え置き型ゲーム機向けGPUの製造工場として知られた。ただ、近年のテレビなど民生機器の需要低迷の影響を受けて稼働率が低下。ルネサスの業績不振の主因の1つとして挙げられ、工場閉鎖も視野に入れながら、売却先を模索していた(関連記事:旧NEC系の最先端半導体工場が瀬戸際、ルネサスが鶴岡工場の閉鎖を検討)。今回の鶴岡工場譲渡により、過剰とされてきた工場の再編の完了にメドがついた格好だ。
ソニーは、イメージセンサーの拠点として活用へ
鶴岡工場を取得するソニーは、スマートフォンなどモバイル機器向けで需要が拡大するイメージセンサーの新たな生産拠点として活用する方針。譲渡が完了する2014年3月31日に、ソニーセミコンダクタ山形テクノロジーセンサー(山形テック)を設立し、2016年3月末までの期間で、CMOSイメージセンサー生産能力増強のための設備投資を実施する方針。設備投資規模は、約275億円で、鶴岡工場資産取得額の約75億円と合わせて約350億円となる。ソニーでは、中長期的にイメージセンサーの生産数量を現在の月産6万枚(12インチウエハー換算)を約7万5千枚に増強する計画で、山形テックへの投資はその一環と位置付けている。
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