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スマホもオープンプラットフォームの時代へ? サムスンのクロスライセンス契約から読み説くオピニオン(1/2 ページ)

サムスン電子が、グーグルとEricssonと相次いで特許クロスライセンス契約を締結した。専門家は、「スマートフォンのプラットフォーム争いは終えんに近づいている。スマートフォンのメーカー各社が“あらゆる企業にオープンな環境”を構築するべき時代になりつつある」と述べる。

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 Samsung Electronics(サムスン電子)が、2つの重要な特許ライセンス契約の締結を相次いで発表した。

 まずは2014年1月26日に、Googleとの間で広範に及ぶ特許クロスライセンス契約の締結を発表し、互いの特許を利用できるようにすることで合意したと明らかにした。

 翌日の1月27日には、スウェーデン最大手の通信事業者であるEricssonとの間で同じくクロスライセンス契約を締結した。これにより、同社との間で進行中だった特許訴訟が取り下げられることになるという。Samsungはこれまで、LTEをはじめとするEricssonの数々の特許を侵害しているとして提訴されていた。しかし今回の契約締結によって、Samsungが賠償金としてEricssonに6億5000万米ドルを支払うとともに、今後継続的にロイヤリティを支払っていくことで合意したという。

 今回のSamsungの動きから、特許係争による負のスパイラルに陥ることを避けて、革新的な製品を開発することに再び注力していこうとする同社の意気込みが読み取れる。

 モバイル業界は「特許平和」に突如、目覚めたのだろうか。

 その可能性は十分にある。というよりも、スマートフォン市場のキープレーヤにとっては、クロスライセンス契約の契約を避けられないレベルまでモバイル業界が成熟したのではないだろうか。

 米国の特許仲介企業であるEpicenter IP Groupでプリンシパルを務めるRon Epstein氏は、このようなモバイル業界の動きについて、「適切な評価だ」としている。同氏は、かつてIntelでライセンス部門担当ディレクタを務めた経歴を持っていて、これまでPC業界においてどのように特許係争が繰り広げられてきたかをよく知る人物だ。同氏は、EE Timesの電話インタビューに応じ、「スマートフォン市場ではこれまで、特許係争が引き金となって、プラットフォームをめぐる争いが起こってきたが、こうした状況はまもなく終えんを迎えるだろう」と述べている。

Android搭載機器メーカーが抱く懸念

 しかし、GoogleとSamsungのクロスライセンス契約締結は、解決策どころか、むしろ新たな問題の種にならないだろうか。同契約では、既存の特許だけでなく、今後10年間に取得する特許も対象になるという。さらに両社とも、適用対象となる特許/技術や、金額などに関する詳細を全く明らかにしていない。

 米国の市場調査会社であるIHS iSuppliで民生機器/通信分野のシニアディレクタを務めるFrancis Sideco氏は、「GoogleとSamsungによる今回の包括的なクロスライセンス契約は、どの特許が対象となるのかが不明なため、他のAndroid端末メーカー各社にとっては重大な懸念材料となる可能性がある。契約内容によっては、機器メーカーにとって、全く無関係なことにも重大な問題にもなり得る」と指摘する。さらに同氏は、「システム機器メーカーが知りたいのは、GoogleとSamsungとのクロスライセンス契約によって生み出される新たな技術を、他のAndroid端末メーカー各社がどのように利用できるのかという点だ」と述べている。

 しかしEpstein氏は、それほど心配していないようだ。同氏は、「“革新的”とされる技術のうち実に99.9%が、メーカー間における専門知識/技術の移転や盗用によって生み出されたものだ」と述べる。つまり同氏は、長期的な展望として、GoogleとSamsungとのクロスライセンス契約によって将来的に生み出される技術が、最終的に他の機器メーカーにも広く浸透していくだろうとみているのだ。

 さらに、同氏は「スマートフォンの99.9%は、Apple、Samsung、Microsoftのいずれの製品であっても、同じような機能を搭載している。それにもかかわらず、AppleとSamsungが特許訴訟を続けているのは、ばかげたことだ」と語っている。「GoogleとSamsungのライセンス契約の基本的な内容は、“当社は貴社の技術を借用し、貴社は当社の技術を借用する”というものだ」と同氏は言う。

 Epstein氏は、「GoogleとSamsungのライセンス契約は、要は、休戦合意というより北米自由貿易協定(NAFTA)のようなものだ。GoogleとSamsungが提携して数多くの事業を行ってきたことを考えると、両社は特許をトレードして、互いに協力することを決断したと思われる」と結論づけている。

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