IBM、米国で人員削減を開始:ビジネスニュース 企業動向
各国の拠点で人員削減を行うとみられているIBMが、米国内で人員削減を開始した。正確な人数は明らかにはなっていないが、既に10州で人員削減が実施されたという。
IBMは2014年2月26日、“労働力の均衡を再調整する”施策の一環として、米国内で1回目となる人員削減を実施した。同社は2014年第1四半期の間に、インドやブラジル、欧州各国など、世界中で約1万5000人を解雇するとしている。これにより、約10億米ドルのコストを削減できる見込みだという。
米国のコンサルティング会社であるPund-ITで主席アナリストを務めるCharles King氏は、EE Timesの取材に応じ、「IBMはこれまで、5〜10年をかけて、事業構造を根本的に変えてきた。同社はもともと、主にハードウェアを手掛け、付随するさまざまなサービスを提供するメーカーだった。しかし現在では、ソフトウェアメーカーとして、それに関連するハードウェアを提供している。同社は、プラットフォームの需要が増減を繰り返す中、以前のような利益が見込めなくなった事業部門に従業員を配属させる一方で、さらに大きな成功が期待できる部門には新しい従業員を採用するという手法をとってきた」と話す。
10州で既に実施か
IBMの2013年第4四半期における業績は、ハードウェア部門の売上高が26%減少するなど、悪化した。その上、さまざまな負の投資も重なったために、今回の大規模な人員削減につながったようだ。同社の従業員組織であるAlliance@IBMによると、米国内で解雇された従業員の数は明らかにされていないが、既にマサチューセッツ州やニューヨーク州、アイオワ州、ミズーリ州、オクラホマ州、ノースカロライナ州、ミネソタ州、アリゾナ州、バーモント州などで人員削減が実施されたという。
インドのバンガロールでも2014年2月に、大規模な人員削減が行われている。正確な人数は定かではないが、約1000人の従業員が解雇されたとみられる(関連記事:IBM、インドで大規模な人員削減を実施)。
King氏は、「IBMは、同社のローエンドサーバ事業のように、ある事業部門を売却する場合、まずはマーケティング部門や営業部門の人員を削減する。これにより、その事業部門の業績が悪化し始め、売却に向けた準備が整うというわけだ。IBMはこれまでに何度も、管理職より下のレベルの従業員たちを最初に犠牲にしてきた」と述べている。
Alliance@IBMによると、ニューヨーク州エンディコット(Endicott)では、10〜15人が既に解雇されたという。また、Burlington Free Press紙によれば、バーモント州エセックスジャンクション(Essex Junction)では、2013年に行われた人員削減では419人が解雇されたが、今回はその1/3に相当する約140人の従業員が職を失うとみられている。さらに、ニューヨークのPoughkeepsie Journal紙によると、IBM Systems Technology Group(STG)では、少なくとも3人が解雇されたという。STGは、メインフレームなどの大型コンピュータの開発/製造を手掛ける部門だ。
IBMは人員削減について公式なコメントを出していない。
King氏は「同様の規模の人員削減は、他のIT企業でも過去にいくつか行われている。例えば、HPも相当数の従業員を解雇した」と述べる。「ただ、今回の人員削減が市場におけるIBMの地位に影響を与えることはまずないだろう。残念ながら、こうした人員削減は、市場が移り変わる中で実施せざるを得ない戦略とも考えられる」(同氏)。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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