スマートライティングに期待、LED照明向け半導体で年間70%成長見込む:LED/発光デバイス
オン・セミコンダクターは、LED照明向け半導体事業で年平均成長率(CAGR)70%の伸びを予測している。車載向けや一般照明向けにLEDドライバIC、無線通信用IC、マイクロコントローラなどの半導体デバイスを供給している。今後はLED照明機器がネットワークに接続され、遠隔制御が可能なスマート化が進み、関連するICの大幅な需要拡大が見込めるからだ。
オン・セミコンダクターは2014年3月4日、LED照明向け半導体事業の戦略について、東京都内で記者説明会を開催した。同社は車載向けや一般照明向けにLEDドライバIC、無線通信用IC、マイクロコントローラなどの半導体デバイスを供給している。今後はLED照明機器がネットワークに接続され、遠隔制御が可能なスマート化が進み、関連するICの大幅な需要拡大が見込めることから、LED照明向け半導体事業で年平均成長率(CAGR)70%の伸びを予測している。
オン・セミコンダクターは、車載電子機器や産業機器/医療機器、民生機器、通信機器コンピュータなどの用途向けに、電源ICやLEDドライバIC、ASIC、マイクロコントローラ、イメージセンサーなどを供給している。特に同社はこれから事業成長が期待できる領域として、「オートモーティブ」、「スマートフォン/タブレット端末」、「電源モジュール」、「LEDライティング」の4分野を挙げる。
LED照明向け半導体事業をけん引する用途として同社が注力しているのが、「車載向け」と「スマート化が進む一般照明機器向け」である。車載向けでは、LEDフロントライト用のSoCを始め、室内灯やリアコンビネーションランプなどに向けたスイッチング電源IC、リニアレギュレータICなどを提供している。特に、定電流レギュレータ(CCR)ICはLED照明モジュールのコストダウンに有効なことから、市場でも高い評価を受けているという。
車載向けの事業は高い伸びを示してきたが、「それを上回る大きな成長率が期待できる」とみているのが「スマートライティング」と呼ぶ一般照明機器向けの半導体デバイス事業である。世界市場で「省エネ」への関心が高まり、その一環として、白熱電球からLED電球への切り替えが急速に進んだ。同時にLED電球は発光効率の改善などから単価ダウンが進んだこともあり、LED電球は世界市場で需要が拡大している。オン・セミコンダクターのLEDライティング担当戦略マーケティングディレクタを務めるSri Jandhyala氏は、「LED電球を用いた照明器具は、これまで省エネを目的として需要を拡大してきた。それに加えてこれからは、LED照明器具がネットワークやセンサーと連携して作動し、スマートフォンなどから遠隔制御が可能となる。既に一部で導入が始まっているが、スマート化されたLED照明システムのニーズが今後は一層強まり、関連する半導体デバイスの需要をけん引していくことになるだろう」と話す。
同社は、これまで展開してきたLEDドライバICやパワーMOSFETなどのデバイス製品群に加えて、マイクロコントローラや「Zigbee」、「KNX」、「PLC」といった無線/有線通信規格に対応したIC製品、さらには各種センサーICなども既に用意している。これらのIC製品を統合してスマートライティングを実現するためのソリューションを照明器具メーカーなどに提案していく考えである。また、ICチップの供給方法も、一般的なパッケージ品に加え、シリコンダイやLEDチップを含めたチップオンボード、機能モジュールといった形態での供給にも対応することができるという。
個別のIC製品でも同社は強みを持つ。例えば、一次側制御LEDドライバIC「NCL3008x」シリーズは、フィードバック制御回路をなくし、制御ブロックを簡易化することで、一般的なLEDドライバICに比べて部品点数を減らし、コストダウンを可能としたという。出力電流の精度は標準で±1%以下である。さらに、調光を3段階(従来品は10〜100%の中で5段階)に抑えた新製品「NCL30085」なども近く発売する予定である。
「LEDシャント」や「サージ/ESD」からLEDチップを保護するための製品も用意している。例えば、直列に接続されたLEDチップの1個がオープンモード故障しても、それ以外のLEDチップに影響を与えないようにするLEDストリング保護用のデバイス「NUD4700」がある。各LEDチップの両端にNUD4700を接続しておけば、LEDチップがオープンモード故障した場合にシャントバイパスプロテクタとして機能するため、直列接続された他のLEDチップは発光し続けることができる。
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