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A123事業買収のNEC「2020年蓄電システム事業規模1000億円が目標」ビジネスニュース 事業買収

NECは2014年3月24日、中国の万向集団(Wanxiang Group)の傘下の電池メーカー・A123 Systems(A123システムズ)の蓄電システム事業の買収に関する会見を開き、蓄電システム事業規模を2020年に1000億円規模へと引き上げる方針を明らかにした。

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 NECは2014年3月24日、中国の万向集団(Wanxiang Group)の傘下の電池メーカー・A123 Systems(A123システムズ)の蓄電システム事業の買収に関する会見を都内で開催し、蓄電システム事業規模を2020年に1000億円規模へと引き上げる方針などを明らかにした。

電池工場は買収対象外

 NECが買収するのは、A123システムズの電力会社向けおよび企業向け大規模/大容量蓄電システムのシステムインテグレーション(SI)事業部門である「A123 Energy Solutions」。同事業部門の売り上げ規模は2013年実績で約32億円で従業員規模は130人。米国マサチューセッツ州に本拠地を置く。NECスマートエネルギービジネスユニット理事の庭屋英樹氏によると、「リチウム電池を使った系統向け蓄電システムでは、世界1位、2位を争うトップクラスのベンダー」という。買収金額は約1億米ドル。なお、A123システムズは、蓄電システム事業以外に、電気自動車向け電池事業部門と電池工場を持つが、買収の対象外だ。


今回の買収の概要 (クリックで拡大) 出典:NEC

会見したNECスマートエネルギービジネスユニット理事の庭屋英樹氏

 NECでは、買収した事業部門の全てのリソースを2014年6月に設立予定の新会社「NEC Energy Solutions」に集約して事業を実施していく方針。本拠地は、日本に移さず、従来通りマサチューセッツ州に置き、「北米発信でグローバルにビジネスを展開していく」(庭屋氏)とする。

 NECもこれまで、蓄電システム事業を展開してきたが、発電容量で数十kWhクラス以下の家庭/小規模事業所向けの小型システムが主流だった。これに対し、A123 Energy Solutionsは数百kWhクラスの企業/工場向けの中型システムから1MWhを超える電力会社など向けの大型システムを得意にし、事業の重複が少なく相乗効果を発揮しやすい状況にある。加えて、「大規模な蓄電システムを短期間、低コストに構築できるA123のシステムインテグレーション力と、NECのICTを融合させることで、リチウムイオン電池を使った系統向け蓄電システム分野でのトップの地位を維持させていく」(庭屋氏)。さらに庭屋氏は個人的な見解と前置きしつつ「蓄電システム事業として2020年には1000億円規模のビジネスにしたいと考えている」と語った。

左=NECによる系統向け蓄電システムの市場規模予測/右=事業買収後のNECの蓄電システム事業領域 (クリックで拡大) 出典:NEC

将来的にはAESCのEV向け電池を使用へ

 蓄電システムを構築する上でベースとなる電池の調達については、「事業継続性、事業の早期立ち上げの観点から、当面はこれまで通り、A123システムズから調達していく。ただ、将来的には、より優れた電池を使って蓄電システムを構築する“マルチ電池”も視野に入れおり、(NECグループで電気自動車向け電池製造を行う)オートモーティブエナジーサプライ(AESC)の電池供給も受け、使用していく」とした。なお、「AESCが、蓄電システム向けの専用電池を開発する予定はなく、NEC Energy SolutionsはEV向けに開発された電池をうまく使用していく」という。

2012年に落札できずも、1年後に割安購入

 NECは2012年12月、連邦破産法11条の適用申請に伴うA123システムズ(関連記事:グリーン・ニューディールは失敗? 米車載リチウムイオン電池ベンチャーが倒産)の資産売却入札に、米国自動車部品大手Johnson Controls(ジョンソンコントロールズ)と共同で応札していた。しかし、万向集団が2億5660万米ドルで落札し、事業を取得できなかったという経緯がある(関連記事:破綻した米国電池ベンチャーは中国企業が落札、米国企業とNECは競り負ける)。庭屋氏は、「(2012年の)入札に勝っていた場合に、NECが取得しようとしていた事業領域と、今回買収した事業領域はほぼ同じ。今回の買収額(約1億米ドル)は、入札額と比べ、日本円換算ではほぼ同じ。米ドルベースでは、中国国内での蓄電システム事業の権利の一部を万向集団側に残した分割り引かれ、割安になった」と説明した。

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