アジレントが「オシロ市場でトップシェア狙う」ミッドレンジの新製品投入:テスト/計測 オシロスコープ(1/2 ページ)
アジレント・テクノロジーは、ミッドレンジに位置付けるポータブルオシロスコープ2シリーズを発表した。新製品は、信号品質に対するオシロスコープ自体の影響を小さくするとともに、信号表示や解析の機能を強化した。極めて高いコストパフォーマンスも実現している。新製品投入でミッドレンジ分野でもシェアアップを図り、遅くとも2015年にはオシロスコープ市場全体でナンバーワンのシェアを獲得するための戦略商品と位置付ける。
アジレント・テクノロジーは2014年5月8日、ミッドレンジに位置付けるポータブルオシロスコープ2シリーズを発表した。新製品は、信号品質に対するオシロスコープ自体の影響を小さくするとともに、信号表示や解析の機能を強化した。極めて高いコストパフォーマンスを実現している。同社は、「新製品投入でミッドレンジ分野でもシェアアップを図り、遅くとも2015年にはオシロスコープ市場全体でナンバーワンのシェアを獲得するための戦略商品」と位置付ける。
新製品は、信号品質を改善した最大8GHz帯域のオシロスコープ「Infiniium(インフィニウム) Sシリーズ」と、コストパフォーマンスに優れた最大6GHz帯域のオシロスコープ「InfiniiVision(インフィニビジョン) 6000Xシリーズ」の2シリーズである。
ミッドレンジに位置付けるポータブルオシロスコープ。最大6GHz帯域のオシロスコープ「InfiniiVision 6000Xシリーズ」(左)と、最大8GHz帯域のオシロスコープ「Infiniium Sシリーズ」 (クリックで拡大)
低ノイズと低ジッタを実現した「Infiniium Sシリーズ」
Infiniium Sシリーズは、独自に開発した最大20Gサンプル/秒(2チャネル時)で動作する10ビット分解能のA-DコンバータICを搭載している。8ビット分解能のA-DコンバータICを搭載した一般的なオシロスコープに比べて、垂直軸分解能は4倍も向上した。さらに、フロントエンド回路も新たに設計することで全ての帯域で低ノイズと低ジッタを実現している。例えばノイズレベルは、1GHzで90μVrsm、8GHzで260μVrsm(いずれも1mV/div、50Ω時)を達成するなど、ノイズフロアを10〜20%改善した。
フロントエンドのノイズを小さくできたことで、システムの有効ビット数(ENOB:Effective Number of Bits)も高い。例えば、8GHzでも6.4ビットという値となっている。「分解能が12ビットのA-DコンバータICを搭載した他社製オシロスコープもあるが、システムENOBはInfiniium SシリーズのA-Dコンバータが2ビット以上も優れている」という。
操作性の向上も図った。Infiniium Sシリーズは15型マルチタッチ対応の静電容量式ディスプレイを搭載している。また、ブックマーク機能や表示データへの「注釈」追記機能の他、画面上には波形やアイパターン、ジッタ解析、ヒストグラムなどを自由に配置したり、必要な情報を全て並べて表示させたりすることができる。解析処理やデータ処理能力も高めた。CPUはIntel i5、メモリは8Gバイトの容量を搭載した。さらにメモリ容量が250GバイトのリムーバブルSSDやUSB3.0インタフェースを内蔵している。
Infiniium Sシリーズは、アナログ帯域として500MHzから、1GHz、2GHz、2.5GHz、4GHz、6GHzおよび8GHzの7タイプを用意した。それぞれ、アナログ4チャネルのDSOモデルとアナログ4チャネル+デジタル16チャネルを備えたMSOモデルがある。
Infiniium Sシリーズ向け汎用高速差動プロービングシステム「InfiniiMax III+」も同時に発表した。4GHz、8GHz、13GHzの差動アクティブプローブと、磁力による着脱が可能な新開発のプローブヘッド「QuickTip」からなる。差動アクティブプローブは、QuickTipヘッド以外にも、はんだ付けプローブヘッドなどInfiniiMax III用の全てのプローブヘッドを装着することができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.