タイヤが減り具合を自動で測定、近づく“スマートタイヤ”の実現:センシング技術
ドイツのContinental(コンチネンタル)が開発した技術は、タイヤに取り付けたセンサーで、タイヤの摩耗具合(残り溝深さ)を検知するというもの。将来的にはタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)で利用できるようになる見込みだ。
ドイツの大手ティア1サプライヤであるContinental(コンチネンタル)は、自動車のタイヤの残り溝深さが十分あるかどうかを検知する技術を開発した。タイヤの回転動作が時間とともに変化することを利用し、センサーとソフトウェアで実際の残り溝深さを推測することができるという。安全性を維持するために必要な残り溝深さの基準を下回るほどにタイヤが摩耗していないかどうかを検知し、ダッシュボードに警告メッセージを表示することで、十分に早い段階でドライバーに知らせることができる。
センサーはタイヤ空気圧を検知し、タイヤの回転動作と、タイヤ種ごとに蓄積されているデータを比較する。タイヤの残り溝深さが減少して、そのしきい値がタイヤの種別に指定された値を下回ると、タイヤを交換すべき時期であることが表示される。オプション機能として、テレマティクス装置を使ってガソリンスタンドに関する情報を取得するといった機能も実現する予定だ。
今回の新技術は将来的に、タイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)において利用できるようになる見込みだ。Continentalによると、2017年には量産を開始できる見込みだという。欧州連合(EU)では2014年11月から、新車へのTPMS搭載が義務化される。Continentalは現在、タイヤの圧力をセンサーで直接測定するという手法を採用しているが、将来的には、バルブや、タイヤの接地面(タイヤトレッド)の内部などにセンサーを組み込んでいくことになるだろう。
今回の技術によって、“スマートタイヤ”の実現に向けてさらなる一歩が踏み出された。この他にも、市場への導入が近く予定されている技術として挙げられるのが、荷重検出機能だ。ソフトウェアをベースとする機能で、短い距離を走行してからタイヤの回転動作を分析することにより、積載量の制限を超過していないかどうかを検知できるという。Continentalによると、タイヤの回転動作を分析して、車体の重量に関するデータを収集することにより、将来的に、運転者支援システムにおける新しいパラメータの1つとして利用できるようになる見込みだという。運転時の安全性が一段と高まりそうだ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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