圧着不要! 加熱だけで基板の電極を接続する異方導電性ペースト:JPCA Show 2014
積水化学工業は、加熱のみで電子部品などの電極同士を電気的に接続して、接着固定させることが可能な「異方導電性ペースト」を「JPCA Show 2014」でデモ展示した。回路基板とフレキシブル回路基板などの接続工程で、これまで必要とされてきた圧着処理が不要となる。
積水化学工業は、JPCA Show 2014(2014年6月4〜6日、東京ビッグサイト)において、加熱のみで電子部品などの電極同士を電気的に接続して、接着固定させることが可能な「異方導電性ペースト」の展示と接続デモを行った。回路基板とフレキシブル回路基板などの接続工程で、これまで必要とされてきた圧着処理が不要となる。
新開発の異方導電性ペーストは、熱硬化性樹脂にはんだ粒子を均一に分散したペースト状の樹脂接続材である。このペーストを片方の基板上にスクリーン印刷で塗布し、接続したいもう一方の基板を重ねる。接続したい部分を加熱すれば、基板の電極部分にはんだ粒子が自己凝集して、電極と金属結合を形成するという。この際、接続したい部分を圧着する必要はない。
また、加熱はリフロー炉やオーブン、ホットプレートなどを利用して行うことができる。実装条件の一例として「180℃で15秒間」あるいは「140℃で2分間」などを挙げる。加熱後は熱硬化樹脂が硬化して、基板同士は接着固定される。接続力は48N/cm(90°peel時)である。
新開発の異方導電性ペーストは、接続したい上下の電極ずれがあっても、電極幅の半分以下で、ピッチ幅が150μm程度であれば、セルフアライメント機能によって、はんだ粒子自体が位置合わせを行うことができる。このため、顕微鏡などを使わなくても位置合わせすることができるという。
しかも、新開発の異方導電性ペーストを用いると粒子の点接触ではなく面での接続となる。このため、1A以上の大きな電流への対応や、USB3.0以上の高速伝送にも十分に対応することが可能である。さらに電極以外のスペースには導電粒子が存在しないため、従来のはんだ粒子を用いたタイプに比べて、ファインピッチ接続が可能となる。
使い勝手も良い。新開発の異方導電性ペーストは酸化膜を除去する機能(フラックス機能)を備えている。このため、表面が酸化しやすいCu(銅)電極であっても高い接続性を得ることができるという。
「今回の異方導電性ペーストは、製造ラインに圧着装置を導入していないユーザーなどからの要望で開発した。オーブンやホットプレートでも基板間の電極接続を行うことが可能となる。2014年度中にユーザーの評価を終えて、2015年度には量産を目指したい」(説明員)と話す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- リチウムイオン電池の容量が従来比3倍に、積水化学がゲルタイプ電解質を新開発
積水化学工業は、一般的なリチウムイオン電池に用いられている電解液と同等クラスのリチウムイオン電導性を持つゲルタイプ電解質などを用いて、リチウムイオン電池の容量を従来比で3倍まで高めると同時に、生産速度も同10倍に向上できる技術を開発した。2014年夏をめどにサンプル提供を始め、2015年度には量産販売したい考え。 - FPCベースのフレキシブル触覚センサー、触覚グローブに応用
日本メクトロンは、「フレキシブル触覚センサー」や「ストレッチャブルFPC」、「3D成形FPC」など、FPC(フレキシブルプリンテッドサーキット)ベースの新技術を参考出展した。特に、薄型のセンサー構造体をFPCに内蔵したフレキシブル触覚センサーや、このセンサーを用いて試作した触覚グローブが、来場者の注目を集めた。 - ナノインプリント技術を応用、照明用ELパネルの光取り出し効率を改善
JX日鉱日石エネルギーは、ナノインプリント技術を応用した機能性フィルム基板の開発品を展示した。基板上に微細な構造を作り込むことで、LED照明や有機ELパネルなどからの光取り出し効率を高めたり、外光の反射を防止したりすることができる。