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カーボンナノチューブを使った「NRAM」の基本動作を実証:新たな次世代メモリ候補(2/2 ページ)
中央大学の竹内健教授らのグループは2014年6月12日、米国のNanteroと共同でカーボンナノチューブを用いた半導体メモリ「NRAM」に最適な書き込み方法を開発し、140nmサイズの単体素子によって基本動作を実証したと発表した。
1000億回の書き換え回数
信頼性に関しても1000億回の書き換えが可能であることを確認した。中央大学では「NRAMの書き換え回数は、フラッシュメモリの1000万倍に相当し、NRAMがストレージのみならず、メインメモリとしてDRAMを置き換える可能性を示唆している」とする。
左のグラフは、NRAMのMLC動作の可能性を示すグラフ。低抵抗から高抵抗に変化する際に、「抵抗が100倍変化するため4つの状態を記憶することが可能なる」(中央大学)。右は、NRAMの1011回の書き換えと高信頼動作を示すグラフ (クリックで拡大) 出典:中央大学
今回の評価結果について中央大学は、「140nmという大きなサイズで、単体の素子を測定したもので、NRAMをLSIとして実用化するためにはごく初期段階の結果にすぎない。実用化に向けては素子を10nmまで微細化し、ギガビット以上の統計データを評価することが必要になる」としている。
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