最大800MMACSの性能をわずか95mWで実現、ADIがBlackfinコアを拡張:プロセッサ/マイコン
アナログ・デバイセズ(ADI)は、DSPシリーズ「Blackfinプロセッサファミリ」として、最大800MMACS(メガ積和演算/秒)の処理性能を、わずか95mWの消費電力で実現することができる「ADSP-BF70x」を発表した。競合製品に比べて、同じ処理性能であれば消費電力は半分で済むという。
アナログ・デバイセズ(ADI)は2014年6月13日、DSPシリーズ「Blackfinプロセッサファミリ」として、最大800MMACS(メガ積和演算/秒)の処理性能を、わずか95mWの消費電力で実現することができる「ADSP-BF70x」を発表した。競合製品に比べて、同じ処理性能であれば消費電力は半分で済むという。オーディオ処理や産業/ビルオートメーション用画像処理などの用途に向ける。
ADSP-BF70xは、14年ぶりに拡張したプロセッサコア「Blackfin+」を搭載している。Blackfin+は、動作周波数が最大400MHzで、2つの16ビット演算や、32ビット演算あるいは複素固定小数点演算を1サイクルで実行することができる。これによって、16ビット演算では最大800MMACS、32ビット演算では最大400MMACSの性能を実現した。従来のBlackfinコアと比べて、FIRおよびIIRのフィルタリング処理速度は2〜3倍も高速化し、16ビットCFFTベンチマークでは30%の向上が得られたという。
L2メモリとして最大1MバイトのSRAMを内蔵しているのも特長だ。多くの用途で外付けメモリがなくても対応できるため、システム性能の向上と消費電力の低減を可能とした。DDRメモリインタフェースを備えた製品も用意しているため、必要に応じてメモリ容量を拡張することができる。外部とのインタフェース機能も充実した。クアッドSPIやI2C、UARTに加えて、USB2.0やCAN2.0、SDIOなどを新たに追加している。
さらに、暗号解読や認証付きのセキュアなブートを可能とする暗号ハードウェアアクセラレータを内蔵した。また、パリティおよび誤り訂正符号(ECC)で保護されたメモリ回路により完全なデータであることを保証する。
ADSP-BF70xファミリは8製品ある。動作周波数は100/200/400MHzの製品があり、L2メモリとして容量が128Kバイト、256Kバイト、512Kバイトおよび1MバイトのSRAMを内蔵している。パッケージは、DDRメモリインタフェースなしの製品を88端子QFNで、DDRメモリインタフェース付きの製品を184端子BGAで、それぞれ供給する。量産時の価格(1000個購入時の単価)は、3.99〜10米ドルを想定している。今回発表した8製品のうち、400MHz動作で1MバイトのL2 SRAMを搭載した「ADSP-BF706」および「ADSP-BF707」のサンプル出荷を始めた。量産は2015年7月以降となる予定である。
アナログ・デバイセズは、Blackfinプロセッサファミリを用いたシステム開発を支援するためのソフトウェアモジュールや統合開発環境も用意している。無償で提供するソフトウェアモジュールには、人員検知や画像処理ツールボックスなどの画像処理用ソフトウェアを始め、JPEGやH.264BP/MPなどのビデオイメージングコーデック、MP3やWMAを含むオーディオコーデックなどがある。さらに、統合開発環境「CrossCore Embedded Studio 1.1.0」の他、開発/評価用ボード「ADSP-BF707 EZ-KIT-Lite」、カメラモジュールを搭載したイメージングプラットフォーム、USBベースのJTAGエミュレータ「ICE-1000/2000」などを提供する。ADSP-BF707 EZ-KIT-Liteの価格は299米ドルである。
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