開発が進む4K技術、ワールドカップでもソニーとFIFAが取り組み強化:ビジネスニュース オピニオン(1/3 ページ)
「2014 FIFA ワールドカップ」では、ソニーがFIFA(国際サッカー連盟)と連携して4K映像への取り組みを積極的に進めている。撮影、編集、放送の全てにおいて課題がある4K技術だが、進展もある。圧縮規格はH.265の策定が完了し、H.265に対応したFPGAベースのエンコーダも登場している。
ソニーは、ブラジルで開催中の「2014 FIFA ワールドカップ」において、FIFA(国際サッカー連盟)と協力して4K映像を撮影する。内容にはワールドカップのドキュメンタリームービーも含まれ、後日ダウンロードすることも可能になる予定だ。ブラジル最大の放送局であるRede Globo(ヘジ・グローボ)は、リオデジャネイロに野外用の4Kディスプレイを設置して映像を流すとしている。ただし、これらは生中継ではなく、家庭向けの放送でもない。
4Kは、2012年夏に開催されたロンドンオリンピック以降、普及が進むと期待されていた。だが、2014年のソチ冬季オリンピックでは米国の民放テレビ局であるNBCが、デモ用の4K放送を実施しただけだった。2014年に実施された4K放送のもう1つの例は、米国の民放テレビ局FOXのスーパーボウル中継で、スーパーズーム映像が披露された程度だ。
ロンドンオリンピックでは、NHKが開発を進めているスーパーハイビジョン(8K)によるパブリックビューイングも、最大の業績の1つといえるだろう。スーパーハイビジョンは、フルHDの16倍、4Kの4倍の解像度を持つ。
このパブリックビューイングの成功と、その他の技術開発によって、今後4年間の放送機器の設計開発が重視されるようになった。例えば、より高精細な映像へのシフト、指数関数的に増える動画コンテンツの量や伝送量に対処する手段、次世代の動画圧縮規格H.265の普及などである。
ロンドンオリンピックのホスト放送局だったBBCは、ロンドンオリンピックの全ての競技を、約2500時間わたって生中継した。そのためには、1日あたり33時間の放送枠を確保しなければならなかった。最も多くの競技が行われる時間帯には、BBC OneとBBC Two、BBC Threeの3つのチャンネルを利用して24時間のフルHD中継を実施した。
さらに、BBCは、さまざまなキャリアを通じてPCやノートPCからも24時間競技を視聴できる「Red Button」と呼ぶサービスと、これに対応したモバイル向けのアプリを提供した。最も競技が多い日には、Red Buttonのユーザー向けのデータ量は2.8ペタバイトにも上ったという。問題は、こうした放送が4Kや8Kで技術的かつ商用的に可能かどうかだ。
放送業界は上記のような偉業をロンドンオリンピックで成し遂げたわけだが、2014 FIFA ワールドカップと2016年のリオデジャネイロオリンピックでも、こうした偉業を達成する必要がある。全ての競技を撮影し、編集し、放送するには、テレビ局だけでなく放送機器の設計者も大きな課題を克服しなければならない。最初の課題は、膨大な4K映像データを処理することだ。
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