NASAの炭素観測衛星「OCO-2」、植物の蛍光で二酸化炭素の量をマッピング:日本も技術協力(1/3 ページ)
NASAの炭素観測衛星「OCO-2」は、2014年7月1日(米国時間)に打ち上げられる予定だ。OCO-2は、植物の光合成で放出されるクロロフィル蛍光を利用して大気中の二酸化炭素の量を計測する。日本では2009年にJAXA(宇宙航空研究開発機構)が、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」を打ち上げていて、NASAはOCO-2の開発に当たり、日本にも協力を求めた。
NASA(米航空宇宙局)は2014年7月1日に、軌道上炭素観測衛星「Orbiting Carbon Observatory-2(OCO-2)」の打ち上げに臨む予定だ。新型の蛍光センサーを使って大気中の二酸化炭素濃度を測定することにより、最終的には二酸化炭素の発生源と吸収源をマッピングしていくという。
NASAは2009年に、軌道上炭素観測衛星「OCO」の打ち上げたが、失敗に終わっている。しかしその後、4億6750万米ドルが投じられたOCO-2の完成に至るまでに、予想外の利点がいくつか生じる結果となった。2009年に打ち上げられたOCOは、二酸化炭素検出センサーを搭載していたが、衛星を保護するための二枚貝のような形状のカバーであるペイロードフェアリングを分離できず、軌道に乗ることができなかった。
NASAのジェット推進研究所(JPL:Jet Propulsion Laboratory)で、OCOのプログラムマネジャーを務めるRalph Basilio氏は、インタビューの中で、「最初の打ち上げが失敗に終わった時は、胸が張り裂けるような思いだった。私はエンジニアとして、問題を解決するための訓練を積み重ねてきたのに、何も解決できなかった」と答えている。
NASAは、その後直ちに、2基目となるOCO-2の開発に向けて資金を投入することを決断した。OCO-2は2014年7月1日に、米国カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地において打ち上げられ、極軌道に投入される見込みだ。JPLで1基目の開発に携わっていたチームが、引き続きOCO-2の設計改善に取り組んだという。
Basilio氏のチームにとって、打ち上げ失敗後の5年間は、技術的リスクの軽減に取り組むために与えられた時間だったといえる。例えば、新しいブースター「Delta II」に切り替えた他、宇宙空間で衛星の姿勢を制御するための装置であるリアクションホイールの性能を高めることができた。なお、宇宙望遠鏡「ケプラー」の場合、2013年にリアクションホイールが故障したために、ミッションプランナーが惑星探査機の方向を制御できなくなるという事態に陥っている。
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