中国SMICとクアルコムが協業、両社にとっての利点は?:Snapdragonの製造で提携(1/2 ページ)
中国のファウンドリSMICとQualcomm(クアルコム)は、28nmプロセスのチップ製造で提携する。Qualcommのプロセッサ「Snapdragon」を製造する予定だ。今回の協業は両社にとってどのようなメリットがあるのだろうか。
中国最大のファウンドリ企業であるSMIC(Semiconductor Manufacturing International)とベースバンドプロセッサ大手のQualcommは2014年7月3日、SMICとQualcomm Technologiesが中国で28nmプロセスのチップを共同製造することを明らかにした。
SMICは、Qualcommの最新プロセッサ「Snapdragon」を28nmプロセスのPoly/SiON(ポリシリコンゲート/シリコン酸窒化ゲート絶縁膜)と高誘電率膜/金属ゲート(high-K dielectrics metal gate)の両プロセスで製造する。Qualcommはこの合意の下、SMICの28nmプロセス技術の完成度を高めるために支援する。
SMICの将来は、28nm技術の進歩にかかっている。そういう意味で、今回の合意はSMICにとって大きな意義がある。
一方、Qualcommにとっては、中国政府との関係を修復できること以外にどんな得があるのかは不明だ。
SMICは、他の大手ファウンドリのように、最先端のプロセス技術で有名なわけではない。
EE Timesは2014年3月に、SMICのCEO(最高経営責任者)を務めるTzu-Yin Chiu氏の単独インタビューを行った。Chiu氏は、このインタビューの中で「TSMCとの技術的な差が広がっている」と認めている。また、主要な製造工場が14nmプロセス技術の開発に取り組む中、「当社の最新ノードである28nmプロセスは、顧客となる予定の企業にテスト/検証してもらっている段階で、まだ機能していない」とも述べている。
中国の独禁法違反調査
中国は2013年末、独占禁止法違反の疑いでQualcommに対する調査を開始した。中国当局は、Qualcommに対し中国のエレクトロニクス業界への協力を求める狙いでこの調査を行ったという見方もある。
報道によると、Qualcommは、10億米ドルを超える罰金を科される可能性があるという。中国国家発展改革委員会(NDRC)は2013年、Qualcommの北京オフィスと上海オフィスを捜査した。NDRCは、政策などの国家計画を取り仕切る行政機関である。
NDRCはこれまでも、“不当に”高い価格で取引させたとして、技術力のある企業に対して独占禁止法を適用してきた。同局は2014年2月、「Qualcommは市場地位を悪用して法外な価格設定を行った独占禁止法違反の疑いがある」と発表した。
Qualcommで広報部門のバイスプレジデントを務めるChristine Trimble氏に、NDRCの独占禁止法の調査状況について尋ねたところ、「NDRCに対し全面的な協力を続ける方針以外に、特にコメントすることはない」という答えが返ってきた。
Qualcommは、SMICとの提携に関しても詳しいことは何も明らかにしていない。「SMICはどのSnapdragonプロセッサを製造するのか」「製造開始はいつか」といった質問に対しても、「詳細を公表する予定はない」としている。
「中国のファウンドリパートナーにSMICを選んだのはなぜか」という問いに対しても、「当社は過去数年間にわたってSMICと提携してきた。今回の合意によって、この関係が28nmプロセス技術にも拡張された」とお決まりの言葉を返すだけだった。
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