オシロのメリットを融合した電力計、無線給電分野にも応用が可能に:TECHNO-FRONTIER 2014
横河メータ&インスツルメンツは「TECHNO-FRONTIER 2014」(テクノフロンティア 2014)で、電力測定器や波形測定器の最新製品群を展示した。電力計とオシロスコープの長所を併せ持つ電力測定器「プレシジョンパワースコープ PX8000」は、無線給電やロボットといった分野で高い評価を得ているという。
横河メータ&インスツルメンツは「TECHNO-FRONTIER 2014」(テクノフロンティア/2014年7月23〜25日、東京ビッグサイト)で、“オシロスコープの使える”電力測定器「プレシジョンパワースコープ PX8000(以下、PX8000)」や、厳しい環境下でも高精度でデータを測定する「スコープコーダ」など、最新の製品群を紹介した。
電力計とオシロのメリットを融合
PX8000は、2014年1月に発表された製品。動作波形を見ながら電力を測定できる「オシロスコープのように使える電力計」(同社)だという。
電力計は、短時間で急速に変化する特性の評価や、駆動周波数が高い測定対象には必ずしも適していない。高速波形の捕捉や観測が得意なのはオシロスコープだが、こちらは電力の確度は保証されていない。電力計とオシロスコープの長所を兼ね備え、電力測定におけるニーズに応えられるように開発されたのが、PX8000である。
測定周波数はDCから最大20MHzをカバーし、最高サンプリング速度は100Mサンプル/秒を実現している。そのため、従来の電力計では難しかった過渡電力の測定や、高周波で駆動する無線給電などの機器において高精度な電力の測定が可能になるという。横河メータ&インスツルメンツは、「20MHzクラスの高い周波数も測定できる電力計は競合製品にはあまりない。無線給電やロボットの分野で高い評価を受けている」と説明する。ただし、「高い測定周波数までカバーしたことで、長時間の積算ができなくなっている。メモリ容量が足りなくなってくるからだ」というデメリットもあるようだ。
高調波解析もリアルタイムで
スコープコーダは、オシロスコープの機能と多チャンネルの長時間測定に適したデータロガーの機能を組み合わせた測定器である。例えばインバータ/モータの開発では、電圧、電流、回転数、温度、トルクなどを1台でまとめて高精度に測定できるという。今回展示したのはスコープコーダの最新機種「DL850E」だ。従来機種に比べてPCとの連携を強化し、電力演算をリアルタイムで実行できるようにした。
DL850EとPCはUSBケーブルかイーサネットで接続できる。標準で添付されているアクイジションソフトウェアを使ってデータを長時間、PCに取り込める。「データをPCに長時間、素早く取り込みたいというニーズは多かった」(横河メータ&インスツルメンツ)。リアルタイムの電力演算(オプション)もDL850Eの大きな特長だ。126項目の電力演算と複雑な高調波解析を同時にリアルタイムで演算できる。
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