4K 有機EL時代が幕開け――LG電子「当分の間、これ以上の画質進化はないだろう」:ディスプレイ技術(1/2 ページ)
LG電子は2014年8月、4K対応有機ELテレビ「ULTRA OLED TV」を発表した。2013年1月にフルHD対応有機ELテレビを発表して以来の戦略的製品として、“4Kパネル=有機EL”を世界に定着させるべく、攻勢を掛ける見込みだ。
当分の間、これ以上の画質進化はないだろう――。
4K対応有機ELテレビ「ULTRA OLED TV」を発売するLG電子関係者の言葉である。文字通り「究極のTV」「夢のTV」と呼ばれる4K対応有機ELテレビの時代が、いよいよ到来する。
約120万円だが、1年前と比べて割安感
LGが発表したULTRA OLED TVの価格は、66インチで1200万ウォン(約120万円)と、消費者にとっては少々負担が大きい。しかし、2013年1月と同年4月に、世界で初めて発売された平面と曲面の有機ELテレビの価格が、フルHD対応で55インチだったにもかかわらず、それぞれ1100万ウォンと1500万ウォンだったことを考えると、かなり値下がりした。この価格設定は、LGの有機ELテレビへの自信の現れだと評されている。これまでの4K対応テレビと同様に、今回の4K対応有機ELテレビの価格は、生産効率改善とともに今後、持続的に下落すると思われる。
価格への影響が大きい歩留まりは、「まだフルHD対応有機ELテレビの水準には及ばないが、速やかに改善されている」とLGディスプレイは明かす。
有機ELのラインアップ整う
LG電子は今回のULTRA OLED TVの発売で、本格的な市場競争に参戦するためのラインアップを事実上完成させた。2014年1月、アメリカで開催された展示会「CES2014」で公開した、平面と曲面の自在な変更が可能なフレキシブル有機ELテレビの発売にはいまだに至っていないが、有機ELならではの特徴である画質を自由に表現できる商品のラインアップは、これで全て出そろったことになる。
有機ELの特徴はなんといっても、視聴感だ。LGはULTRA OLED TVについて「3300万個のサブピクセルの使用で、まるで実物を直接見ているかのような鮮やかな画質を提供する」と紹介した。具体的には、コントラスト比、色再現率、応答速度、視野角などが飛び抜けている。自発光する素子がもたらす高いコントラスト比と、鮮やかな色合いによって、同じ輝度を持つ他のパネルのディスプレイに比べて、明るく鮮明な画質を実現した。そのおかげで、自発光によって暗い領域から明るい領域まで鮮やかで豊富な色再現率が現実のものとなった。
例えば、黄色や赤色の花を見た時、液晶テレビと比べてその色彩感をはっきりと確認することができる。
応答速度も速い。LG電子は一般的な液晶テレビの応答速度が1m〜2msだとすると、有機ELテレビは0.02msの速度で応答すると胸を張る。これにより残像をなくすことができる。
アクション映画やスポーツ映像のように早い画面転換でも、残像なしのきれいで自然な映像を見せてくれる。自発光であることで液晶テレビに内蔵されるバックライトを省くことも可能になった。おかげで本体はわずか4cmの厚さを実現でき、重量も10kgまで減らすことができた。
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