性能/容量/コストをさらに追求、HGSTのデータセンター向けストレージ戦略:ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)
HGSTは、データセンター向けストレージ装置事業において、フラッシュベースのストレージ装置や、アクティブアーカイブに向けたストレージ技術基盤などを新たに提案する。これらの製品で、アクセススピードの高速化や増大する記憶容量、記憶容量当たりのコスト低減といった要求に応えていく。
ヘリウムを充填/密閉したHDD
記憶容量の向上と高い信頼性を実現するために、これから同社が注力するのが「HelioSeal」プラットフォームと呼ぶ、ヘリウムを充填/密閉したHDDである。「Ultrastar He8」は、記憶容量が8Tバイトである。6Tバイト品に比べて、記憶容量は33%向上し、消費電力は23%節減している。
さらに、HelioSeal技術とSMR(Shingled Magnetic Recording)技術を組み合わせることで、10Tバイトを達成した製品もサンプル出荷を始めた。テラバイトあたりのコストと消費電力を最小化した。Collins氏は、「記憶容量が10TバイトのHDD製品は世界でも初めて」と主張する。
アプリケーションの高速化に対応して開発したのが、NVMe規格に準拠したPCIe SSDシリーズ「Ultrastar SN100」である。HH-HL(Half-Height、Half-Length)のアドインカードモデルおよび、2.5型HDDフォームファクタのモデルを用意している。記憶容量は最大3.2Tバイトである。SSD製品については、インテルと共同開発しているSAS SSD製品についても継続して開発していく予定だ。
管理ソフトウェア
ストレージ装置を密接に統合するソフトウェアも用意した。フラッシュクラスタリング/ボリューム管理ソフトウェア「Virident Space」は、最大128サーバと16台のPCIeストレージ装置のクラスタリングを可能とし、記憶容量が最大38.4Tバイトのフラッシュストレージシステムを構成することができるという。
もう1つ、新たなストレージのカテゴリとして提案しているのが「アクティブアーカイブ」プラットフォームである。これまでのHDDベースのストレージと、磁気テープシステムによる「ディープアクティブ」と呼ばれる大容量ストレージの機能の中間に位置するストレージ装置である。1ラックあたりの記憶容量は10Pバイトを目標とする。従来製品に比べて記録密度や電力効率は5倍とした。「アクティブアーカイブ」プラットフォームは、戦略パートナーに対してサンプル製品を出荷しており、機能を評価中である。仕様の詳細は2015年に開示される予定だ。
日本法人の代表に高野氏が就任
なお、HGSTジャパンの代表取締役に、HGSTワールドワイドリサーチバイスプレジデントの高野公史氏が2014年10月1日付で就任することも併せて発表した。現職の堀家正充氏は退任する。高野氏は日立で長年、HDDに関する研究開発を担当してきた。
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