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3DプリンタでSiC搭載30kWインバータを印刷、米の国立研究所小型化/軽量化に成功

米オークリッジ国立研究所(ORNL)が、3Dプリンタで電気自動車向けの30kW DC/ACインバータを試作した。搭載している一部の部品を3Dプリンタで製造しているが、詳細は明かしていない。DC/DCコンバータの試作にも取り組む予定だという。

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 3Dプリンタはかつて、玩具向けとしての位置付けにあったが、徐々に注目度が高まり、本格的な試作ツールとして使用される機会が増えてきた。米オークリッジ国立研究所(ORNL:Oak Ridge National Laboratories)は、3Dプリンタがいずれ、組み立てラインの製造ツールになると確信しているという。それに備えて現在、IP(Intellectual Property)のポートフォリオを構築しているところだ。

 ORNLのMadhu Chinthavali氏は、EE Timesの取材に応じ、「今後わずか数年以内に、3Dプリンタによる大量生産の手法が開発されると期待している」と述べている。同氏は、ORNLのパワーエレクトロニクス/電気機械グループが初めて手掛けた3Dプロジェクトにおいてリーダーを務め、3Dプリンタで電気自動車向けDC/ACインバータ(出力30kW)を製造することに成功した。搭載している一部の部品を3Dプリンタで製造しているが、詳細は明かしていない。

SiCを使用


ORNLが3Dプリンタで製作したDC/ACインバータ 出典:ORNL

 ORNLは今回、SiC(炭化ケイ素)で作られたワイドバンドギャップ材料を使用することによって、DC/ACインバータの電力密度を高め、小型化/軽量化に成功したという。ORNLは、3Dプリンタでこうしたデバイスを印刷するためのノウハウを習得していくことによって、特許を蓄積し、今後3Dプリンタ分野で主導的な役割を果たしていきたい考えだ。

 Chinthavali氏は、「こうした分野に一番乗りすることで、“史上初”を実現したいと考えている。最終的には、必要なスペックをCADファイルに入力するだけで、完全なを印刷できるようにしていきたい」と述べている。

 ORNLは今回、極めて複雑な形状を採用することによって電力密度の向上と軽量化を実現し、手のひらサイズの30kW AC/DCインバータの開発に成功した。ORNLは「別の手法でこれを製造することは難しい」と主張する。

 Chinthavali氏は、EE Timesの取材に対し、「DC/ACインバータの一部の部品に関しては、別の方法で製造することはできない。このインバータは、Ge(ゲルマニウム)半導体とSiCを組み合わせることで差別化を実現している」と述べている。


3D Systemsの3Dプリンタ「ProJet 6000」は、玩具だけでなくさまざまな商品の試作に利用されている(クリックで拡大) 出典:3D Systems

 Chinthavali氏は、今回使用した3Dプリンタのメーカーについては明かしていないが、DC/ACインバータを完成させる上でいくつかの積層造形法を適用したという。また、こうした積層造形法によって、低温デバイスと高温デバイスを隣接させて配置することが可能になったという。ヒートシンクを最適化することで、DC/ACインバータをさらに冷却して小型化を実現することも可能だ。また、複数のコンデンサを並列に搭載することで、大きなコンデンサを1個使用する場合よりも簡単に冷却できるため、さらなる小型化も可能になるという。

 Chinthavali氏のグループは、DC/DCコンバータも試作する予定だ。同グループの最終的な目標は、インバータやその他の部品も100%3Dプリンタで製造することだ。つまり、半導体も印刷するという意味である。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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