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デバイスの可能性を広げるフレキシブル有機TFT、JAPERAが展示Display Innovation 2014(1/2 ページ)

次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA)は「Display Innovation 2014」で、フレキシブル有機TFTを使った感圧センサーを展示した。シリコンに比べてまだ性能は劣る有機半導体だが、印刷で製造することに向いているため、開発が進めばさまざまな応用例が登場する可能性がある。

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 次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA:Japan Advanced Printed Electronics Technology Research Association)は「Display Innovation 2014」(2014年10月29〜31日、パシフィコ横浜)で、フレキシブルな有機TFTシートを使った感圧センサーを展示した。シートに印刷した有機TFTと感圧ゴムを貼り合わせたもの。

 JAPERAは、プリンテッドエレクトロニクスの研究開発を進めるコンソーシアムである。現在、産業技術総合研究所(産総研)、ソニー、大日本印刷(DNP)、東京エレクトロン、コニカミノルタ、旭化成など26の企業が参加企業として名を連ねている。手掛けている技術は、参加企業が自社製品の開発に使用することが基本的な方針だが、外部にライセンス提供する準備も進めているという。

左、中央=有機TFTシート。第3世代基板サイズ(550mm×650mm前後)まで試作できているという。右=有機TFTシートを用いた感圧センサーで、ピアノの鍵盤を再現した(クリックで拡大)

感圧センサーの動作原理。感圧ゴムは、ある押圧範囲において、圧力に応じて抵抗が比例的に変化する。これを可変抵抗とみなすと、図版右側のような等価回路となる。コモン電極に一定電圧を加えると、圧力が小さい時には抵抗が増えTFTのドレイン電圧が低くなり、ソース電流はあまり流れない。反対に、圧力が大きい時は抵抗が減りドレイン電圧が高くなってソース電流が流れる。ゲートのアドレスに同期してソース電流を検出することで、押された場所と押された強さが分かる(クリックで拡大)

 今回は、フレキシブル有機TFTの応用例の1つとして感圧センサーを展示したが、他のさまざまな用途に応用できる。最も応用しやすいものの1つがディスプレイだ。ただし、展示の説明に当たった産総研によれば、「テレビにはあまり向いていない」という。「フレキシブル有機TFTをテレビに応用すれば確かに薄くはできるが、テレビはあまりに薄型化するとスピーカを搭載するスペースが限られてしまうのでよい音質を提供できなくなってしまうからだ。そのため、そこまで音質が追求されないスマートフォンやタブレット端末の方が向いている」(産総研)。また、有機TFTの性能がシリコンのTFTに比べて低いことも、テレビには向かない理由の1つだ。超高精細のディスプレイは実現できないし、フレームレートが高い動画などにも対応が難しい。

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