28nmプロセス市場、TSMCがほぼ独占もUMCがシェアをわずかに拡大:ビジネスニュース 業界動向(1/2 ページ)
TSMCの独占状態ともいえる28nmプロセス市場において、UMCがシェアをわずかに拡大している。UMCはPoly/SiON、ゲートラストなどの方式の改善に取り組み、新規顧客を地道に開拓している。14nmプロセスの開発も順調で、2015年にはテープアウトが完了する見込みだ。
世界第3位の半導体ファウンドリであるUMCは2014年10月29日、28nm半導体市場のシェアを拡大したと発表した。28nm半導体市場は現在、台湾のTSMCがほぼ独占している状況だ。UMCは2014年に、28nm半導体の製造設備に約13億米ドルを投資したという。
UMCは、「28nm半導体は、2014年第3四半期の当社の売上高の3%を占め、同年第2四半期の1%から増加した。同年第4四半期には、さらに増加する見通しだ」と述べている。
UMCのCEO(最高経営責任者)を務めるPo-Wen Yen氏は、2014年第3四半期の決算報告を発表したカンファレンスコールで、「2014年第4四半期の28nm半導体の売上高は、同年第3四半期の2倍以上に増加する見通しだ。28nm半導体の顧客数は20社以上に上る。そのうち15製品以上がテープアウト(設計完了)し、5製品を製造中だ」と述べた。
28nm半導体市場は過去2年間、ファウンドリ大手のTSMCの独壇場だった。実質的に、QualcommやAppleなどの顧客にスマートフォンやタブレット端末などの通信機器向け28nm半導体を提供していたのはTSMCだけだった。2014年第3四半期におけるTSMCの売上高のうち、28nmは34%を占めた。一方で20nmは9%である。
Bank of America Merrill LynchのアナリストDaniel Heyler氏は、「UMCは、製造能力の課題をクリアした」と語る。
UMCは、「Poly/SiON(ポリシリコンゲート/シリコン酸窒化ゲート絶縁膜)、ゲートラスト、高誘電率膜(high-k)/金属ゲート方式を採用した28nmプロセスの製造能力の向上に取り組んできた結果、新たな顧客を獲得し、多様な顧客ベースを構築することができた」と述べている。
Yen氏は、「14nm世代のFinFETプロセス技術の開発も順調に進んでいる。2015年前半には、顧客向け製品をテープアウト(設計完了)し、提供できる見通しだ」と述べている。
2015年の設備投資費は公表せず
UMCは、2015年の設備投資計画については明らかにしなかった。一方、同社のライバルであるTSMCは、2015年の設備投資費を100億米ドル以上に増額する計画を発表している(関連記事:TSMCが設備投資額を100億ドルに拡大、16nm FinFET量産準備で)。UMCは、2013年の設備投資費として15億米ドルを計上していたが、2014年の投資額は13億米ドルに減少している。
UMCのCFO(最高財務責任者)を務めるChitung Liu氏は、「2015年の設備投資費は、オペレーティングキャッシュフローに応じて決定する。市場の動向によって左右される」と説明している。
UMCは、「2014年第4四半期の設備稼働率は、同年第3四半期の93%から90%に減少する見通しだ」としている。
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