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呼気で病気を診断、米大学が開発:センシング技術(2/2 ページ)
米国の大学が、医療診断向けの呼気分析装置を開発した。呼気には約1000種類の化合物が極めて低い濃度で含まれているので、その中から特定の呼気バイオマーカーを検知するという。
糖尿病のモニタリングも
Gouma氏は、「血液透析の監視も可能だ。腎不全を患うと、呼気中のアンモニア濃度が上昇する。この場合は一般的に、透析が万能の治療法とされている」と述べている。
今回、呼気分析装置の開発が成功した要因の1つとして、呼気中の一酸化窒素濃度に関するガイドラインが発行されたことが挙げられる。Gouma氏は、米国カリフォルニア州サンディエゴで2014年10月に開催された「TSensors Summit」において、医学界に対し、呼気バイオマーカーの開発実現に向けたサポートの提供を要請していた。
また同氏は、「呼気分析装置は、新陳代謝率の測定装置としても台頭するだろう」と指摘する。食事制限が必要な患者のために、呼気中のアセトン濃度を測定することで、糖尿病をモニタリングできるようになる。糖尿病にかかっていない人の呼気中のアセトンの平均濃度は、0.8ppm未満だが、1型糖尿病患者の場合は1.8ppmを超えるという(関連記事:皮膚アセトン測定で脂肪燃焼が見える、ドコモがデモ)。
Gouma氏は、「今回の呼気分析装置が成功すれば、糖尿病のモニタリングの実現につながる。アセトンとインスリンの相関性の方が、グルコースとインスリンの相関性よりも高いためだ」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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