Google主導の「Thread」、対応機器は増えるのか?:スマートホーム向け規格はさまざまだが……(1/4 ページ)
Google傘下のNest Labsが取り組みを推進しているホームオートメーション向けプロトコル「Thread」。Freescale Semiconductor(フリースケール・セミコンダクタ)は、そのThreadに対応する機器を開発できるキットを提供すると発表した。ZigBee、Z-Wave、Bluetooth、Appleの「HomeKit」など、ホームオートメーションを視野に入れた規格が乱立する中、フリースケールのこの動きはThread対応機器が増えるきっかけとなるのだろうか。
Freescale Semiconductorが、「Thread」の勢いを加速させる動きを見せた。Threadは、Google傘下のNest Labsが率いる業界アライアンスが、モノのインターネット(IoT)をホームオートメーション機器に導入すべく開発した、低消費電力の新しい無線プロトコルである(関連記事:ホームオートメーション向けプロトコル、Nest Labsが取り組みを本格化)。
Freescaleは2014年11月11日に、独自のThreadベータ開発プログラムを発表した。同社は、Threadの普及を推進する業界団体「Thread Group」の創設メンバー7社のうちの1社であり、Threadソフトウェアや評価プラットフォームを特定の開発者に提供している。
Wi-Fiを補強する存在
業界は、Threadの最終版のリリースを待ち望んでいる状況にある。今回のFreescaleの動きは、Threadをサポートする企業にとって、重要なマイルストーンになるだろう。新しい無線メッシュプロトコルは今や、開発メーカー各社にとって、資料で説明されるだけの規格ではなく、実際に採用することが可能な存在となったためだ。
Freescaleでコンシューマ市場担当ビジネス開発マネジャーを務めるSujata Neidig氏は、EE Timesの取材に応じ、「Threadでは、ホームオートメーション機器で低帯域幅のセキュアな無線メッシュネットワークプロトコルを使うことができる。このため、Wi-Fiを補強する存在となるだろう」と述べている。
Neidig氏は、「Threadは、ネットワークレベルで十分に安定した相互運用性を確保できている。このためFreescaleは、自社のマイコンやスタンドアロン無線チップの最上部に、Threadのプロトコルスタックを独自に実装できるようになった」と述べる。
FreescaleのThreadベータ開発プログラムでは、低消費電力マイコン「Kinetis W」シリーズとThreadのソフトウェアが提供される。Thread対応製品の評価/開発や、マルチノードネットワーク環境における対応製品のテストなどで必要なものが全て入っている。例えば、タワーボード「Kinetis KW2x」やUSBドングル、サンプル、Threadスタックなどの他、コンパイル済みのThreadライブラリやデモアプリケーションコードも含まれているという。なお、Kinetis Wシリーズは、ARMのプロセッサコア「Cortex-M0+」と「Cortex-M4」を採用し、2.4GHzのRFトランシーバを備える。
Neidig氏は、「Freescaleは、幅広い製品ポートフォリオを提供している。顧客企業は、Threadをスタンドアロン無線で簡単に構築するか、または、異なる種類のマイコンや、豊富なユーザーインタフェースを備えたアプリケーションプロセッサなどを使用して、ルーターやエンドノード製品などのさまざまな種類のThread対応製品を開発するか、どちらかを選ぶことができる。このように、Threadの幅広い用途を実現するために不可欠な柔軟性を提供することによって、差別化を図ることができると考えている」と述べる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.