TSMCの成長は鈍化か、Apple「A9」の製造がSamsungに戻る可能性も:ビジネスニュース 企業動向(1/2 ページ)
堅調な伸びを見せているTSMCだが、アナリストらは、2015年は成長がやや鈍化すると予測している。スマートフォン市場の成長が緩やかになることに加え、Appleが次世代プロセッサ「A9(仮)」の製造をSamsungに戻すと可能性があるからだ。
TSMCが2014年第4四半期(10〜12月期)の記録的な利益を発表した後、アナリストらは同社の見通しについて、2015年に利益が減少する可能性があるとの見解を示した。
TSMCは2015年1月15日、2014年第4四半期の利益が、前年比79%増となる799億9000万ニュー台湾ドル(25億1000万米ドルに相当)に達し、四半期の新記録を更新したと発表した。
Susquehanna Financial GroupのアナリストであるMehdi Hosseini氏は、2015年1月15日付のリポートの中で、「『iPhone 6』の需要が予想以上に高かったため、2014年第2四半期以降、TSMCの業績もそれに伴って引き上げられた。だが、減益につながってしまいそうな要素もいくつかある」と述べる。
Samsungは、Qualcommチップへの依存度を減らす
Hosseini氏によると、Samsung Electronicsは、自社のアプリケーションプロセッサ「Exynos」を積極的に採用し、Qualcommのチップに頼る割合を減らすことを目指している。TSMCの最大顧客であるQualcommからの受注が減れば、TSMCの2015年第2〜3四半期中の生産負荷は予想より低くなることが見込まれる。さらに、TSMCは同社の16nmプロセスを適用したチップと、Samsungの14nmプロセスチップの過酷な競争に直面することになり、2015年下半期には16nmプロセスチップの利益は限られるという。
AppleはSamsungに戻す?
アナリストらは、TSMCの最大顧客の1つであるAppleが、委託先をTSMCからSamsungに戻していく可能性もあると予測する。
BNP ParibasのアナリストであるSzeho Ng氏は、同氏が執筆したリポート(2015年1月15日付)の中で、Samsungの歩留まり改善の状況によっては、AppleがTSMCに委託する割合が低下するとの見解を示している。TSMCは、iOS端末向けの最新プロセッサ「A8」をほぼ独占的に製造しているが、次世代のプロセッサ「A9(仮)」も同じように独占的に製造できるとは限らない。
Ng氏は「Samsungの最新スマートフォン『Galaxy S6』には、14nm FinFETプロセスを採用した新型Exynosが搭載されると見られている。14nm FinFETの歩留まりが向上したことで、AppleのA9製造委託先としてSamsungが強力な候補になる可能性は大いにある」と述べた。
Ng氏は、最先端のプロセスを適用したチップを最初に量産するという、TSMCのファウンドリビジネスにおける競争力は、プロセスノードが20nm以降になるにつれて薄れていくとみている。20nmプロセスでの量産規模は、TSMCで最も成功しているとされる28nmプロセスに比べると低い。Ng氏は、「28nmでは、ウエハー換算でひと月当たり12万〜13万枚とみられるが、20nmではそれが7万5000枚程度ではないか」と予測している。
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