NXP CEOに聞く“フリースケール買収の舞台裏”:IDTやCSRも買収候補だった!(1/3 ページ)
NXPセミコンダクターズによるフリースケール・セミコンダクタの買収は、半導体業界から大きな注目を集めている。スペイン バルセロナで開催中の「Mobile World Congress (MWC) 2015」にて、NXPのCEOを務めるRick Clemmer氏に今回の買収について聞いた。
NXP Semiconductors(以下、NXP)が間もなく、Freescale Semiconductor(以下、フリースケール)を買収する(関連記事:NXPがフリースケールを118億ドルで買収)。フリースケールのシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャであり、同社のマイクロコントローラ事業部門の責任者を務めるGeoff Lees氏は、買収後のNXPにおける地位を既に確保しているようだ。
同氏は、EE Timesが2015年3月2日に行った取材において沈黙を守り、同氏が2012年にフリースケールに入社する以前にNXPで勤務していたという事実についてのみ語った。
NXPのCEOであるRick Clemmer氏は2013年3月3日、EE Timesが行った1対1のインタビューの中で、「素晴らしい人物であるLees氏が我が社に帰ってくることを、大変うれしく思っている」と述べている。
NXPのRF部門は売却へ
Clemmer氏は、「今回のフリースケール買収は、戦略的買収であり、単なる短期的な方策によるものではない。この合併により、フリースケールのコンピューティング性能を、当社の強みであるセキュリティ/無線通信分野に追加することができるため、モノのインターネット(IoT)市場をけん引していきたいと考えている」と述べている。
また同氏は、「NXPは今後、よりスマートな世界の実現に向けてセキュリティ/コネクティビティ分野に注力していく考えだ。フリースケールのネットワークプロセッサとNXPの汎用製品は、そうした注力分野からは外れることになるが、これらの事業部門が今後も好調を維持できるのであれば、もちろん継続していくつもりだ」と述べる。
ただし同氏は、「この2つの事業部門を十分な金額で売却することが可能であるなら、手放す可能性についても否定しない」としている。
NXPは、今回の買収発表の中で、規制関連の問題を回避する手段として、自社の高性能RF部門を売却する予定であることを明らかにしている。Clemmer氏は、「NXPよりもフリースケールのRF部門の方が堅調であるため、そちらを維持していきたい。両社のRF事業を組み合わせることにより、高性能RFの世界市場において大きなシェアを獲得することができる」と述べる。また同氏は、今回の買収契約に関する調査を担当する規制機関について問われ、「米国および欧州の独占禁止法取り締まり機関によって買収契約の承認を得なければならないのはいいとして、唯一の問題となるのが、中国商務部(MOFCOM)だ」と述べている。
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