検索
ニュース

5mm角の光トランシーバ開発、伝送速度はチャネル当たり25Gbpsを実現有線通信技術

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と光電子融合基盤技術研究所(PETRA)は、シリコンフォトニクス技術を用いた光トランシーバ(光I/Oコア)を開発した。光I/Oコアは、外形寸法が5mm角のシリコン基板上に必要となる機能が実装されており、1Gビット/秒当たりの消費電力は5mW、1チャネル当たり25Gビット/秒の伝送速度を実現した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と光電子融合基盤技術研究所(PETRA)は2015年3月、シリコンフォトニクス技術を用いた光トランシーバ(光I/Oコア)を開発したと発表した。

 光I/Oコアは、外形寸法が5mm角のシリコン基板上に必要となる機能が実装されており、1Gビット/秒当たりの消費電力は5mW、1チャネル当たり25Gビット/秒の伝送速度を実現している。さらに、マルチモードファイバを用いた伝送実験では、伝送距離300mの高速データ伝送が可能であることを実証した。サーバなど情報通信装置などの用途に向ける。

 光I/Oコアは、送信用と受信用をそれぞれ開発した。送信用光I/Oコアは光源(LD)とCMOSドライバIC、光出力用端子、および電気入力用のTGV(Through Glass Via)付きガラスで構成されている。光源から出力された光は、スポットサイズ変換器を通して、光導波路に結合し、光変調器でドライバICからの25Gビット/秒の電気信号により光信号に変換される。その後、回折格子結合器で光端子を通して外部に出力される仕組みだ。

 一方、受信用光I/Oコアは、受光器などを集積したシリコンフォトニクス集積回路基板や、電気信号を増幅するためのTIA(Trans Impedance Amp)-IC、光入力用の端子、および電気出力用のTGV付きガラスで構成される。受信用光I/Oコアでは、25Gビット/秒で入力した光信号がGe(ゲルマニウム)面受光器で電気信号に変換され、TIA-ICによって増幅されたあと、外部に電気信号で出力される。光信号と電気信号の入出力部は、光端子とTGVを用いることで、同一平面上に実現している。


送信用光I/Oコア(左)と受信用光I/Oコア(右)の構造および外観イメージ (クリックで拡大) 出典:NEDO、PETRA

 光変換器をCMOS構造にすることで、低容量と低損失を実現している。また、変調器を複数に分割することにより、0.9Vという低電圧駆動を可能とし、波形制御などの回路を付加しなくても良好な波形品質を確保できたという。受信機のTIA-ICも0.9V駆動が可能なため、送信/受信光I/Oコア双方で、1Gビット/秒当たり5mWの消費電力を達成、従来に比べて1/3以下に節減することが可能となった。

 今回開発した光I/Oコアと、1.3μm帯に最適化されたコーニング製マルチモードファイバを用いて、25Gビット/秒の高速伝送実験を行い、符号誤り率を測定した。この結果、300m伝送後も10〜12以下の特性を示すことが分かった。



今回開発した光I/Oコアと、1.3μm帯に最適化されたマルチモードファイバを用いた伝送実験の結果。25Gビット/秒のアイパターンと符号誤り率 (クリックで拡大) 出典:NEDO、PETRA

 今回開発した光I/Oコアは、マルチモードファイバあるいは樹脂系のマルチモード導波路を利用できるのも実用的である。新開発の光I/Oコアは、光の入出力部に光のビームサイズを制御できる光端子を用いているため、接合部分の位置合わせ精度は10μm程度で済む。このため、一般的なIC製造に用いられるフリップチップボンディング装置を使って、ファイバの接着固定が可能となる。シングルモードファイバを用いる場合は、1μm以下の精度で光軸調整が必要となり、接続のための生産性やコストが課題となっていた。

 NEDOとPETRAは、早期実用化に向けて光I/Oコアの開発に取り組むとともに、コーニング社と共同で1.3μm帯マルチモードファイバを使った伝送実験を行っていく予定である。光I/Oコアのサンプル品供給は2015年末ごろにも開始できる見通しだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る