Android OSの断片化が進む中国スマホ、セキュリティの課題が浮き彫りに:ビジネスニュース 業界動向(3/3 ページ)
Android OSの「断片化」が進む中国。個人のモバイル機器を社内に持ち込んで仕事をするBYOD(Bring Your Own Device)が盛んになっている今、セキュリティへの懸念も高まっている。
データ流出の危険は常にある
Blueboxは、今回の経験によって確証を得ることができた点がいくつかあるという。同社でセキュリティ関連のアナリストを務めるAndrew Blaich氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「まず1つ目に、自分たちが使っている端末を完全に信用することはできないという点が挙げられる」と述べる。Blueboxのセキュリティ専門家でさえ、ハードウェア/ソフトウェアのいずれについても本物かどうかを確定できなかったのだ。
さらに同氏は、「2つ目は、たとえハードウェアが正規品だったとしても、ソフトウェアを入れ換えるのは簡単だという点だ。つまり、消費者が購入する端末が偽造品であろうとなかろうと、データを危険にさらすような不正なROMが(ハードウェアが正規品/偽造品かに関係なく)搭載されている可能性も否定できないということだ」と述べる。
Xiaomiは、Androidベースの独自OS「MIUI」に誇りを持っていて、このMIUIこそが、同社製品の高い人気を支える要素の1つだと考えている。しかし、Blueboxは当初、「MIUIはAndroidから断片化した非正規OSであり、Googleサービスには対応していない」とみなしていたという。
Blaich氏はその後、誤りを認め、Xiaomiのセキュリティチームとの話し合いを持った結果、「Xiaomiが、Androidの全てのベストプラクティスに従うべく最善を尽くしていることが分かった」と述べている。
Xiaomiは、Blueboxが最初に発表したリポートに対し、以下のような声明を公式に発表した。「MIUIは、GoogleがAndroid端末との互換性について定めた『Android CDD』にも厳密に従った、真のAndroidである。また、特定の端末がAndroidとの完全な互換性を備えているかを判断するために業界が採用しているAndroid CTSテストにも、全て合格している。中国国内だけでなく世界市場で販売されているXiaomi端末は、Androidとの完全な互換性を実現している」。
中国メーカーのスマートフォンにおいて、Android OSの断片化がどのくらい進んでいるのかは、Blueboxはデータを持っていないので分からないという。中国で販売されている大多数のスマートフォンは、Android CDD/CTSに従う確固たる理由はない。中国ではGoogleのサービスが使用できないからだ。だが、Blaich氏は、「モバイル機器でも、企業のデータのセキュリティ対策はできる限り取らなくてはならない」と述べる。「BYODがトレンドになるにつれ、モバイル機器を使って仕事をすることは、より簡単になっているが、その結果企業のデータも流出しやすくなる」(同氏)。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
関連キーワード
Android | 中国 | スマートフォン | Xiaomi | Google | BYOD(Bring Your Own Device) | 業界動向(エレクトロニクス) | ビジネスニュース(EE Times Japan)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第7回 Androidの高速起動とセキュリティ対策
Androidの課題はたくさんあります。特に重要なものを挙げるとすると、起動時間の長さとセキュリティでしょう。起動時間を短くするには高速化ソリューションが必要です。起動時間は、ユーザーの目に見えている最大の問題であり、機器の全体的な印象まで損ねる可能性がありますから、対策を急がなければなりません。セキュリティを高めるには仮想化ソリューションが役立ちます。 - 中国国産OS「COS」、マイクロソフトとグーグルに打撃か
専門家によると、中国が開発した独自のOS「China Operating System(COS)」は、中国市場においてグーグルとマイクロソフトに多大な影響を及ぼす可能性があるという。一方で、アップルにはそれほど影響しないとみている。 - モバイル端末のセキュリティに警鐘、Androidマルウェアは増加の一途
スマートフォンやタブレット端末のウイルス感染に関する懸念が高まっている。特にAndroid端末は、セキュリティがぜい弱だと以前から指摘されていて、巧妙化するウイルスへの対策が急がれる。 - Androidアプリの開発者は、セキュリティに対する意識が希薄?
ドイツの大学が、Android端末向けアプリ1万3500本を対象にセキュリティに関する調査を行った。それによると、調査対象のうち1074本が脆弱(ぜいじゃく)性の問題を抱えていたという。データ保護技術の専門家は、セキュリティに対するアプリ開発者の意識の低さを指摘している。 - スマートフォン市場を席巻する“Android”と“中国勢”
2014年4〜6月に出荷されたスマートフォンに占めるAndroid搭載機の割合は85%に達し、さらにスマートフォンメーカー上位6社のうち3社を“中国勢”が占めた。Android優位が鮮明にありつつある中で、メーカーの顔ぶれも変わりつつある。