自動車や次世代医療分野で新ビジネス創出へ、富士通研が応用研究に注力:ビジネスニュース 企業動向(1/3 ページ)
富士通研究所は、研究開発戦略説明会を開催した。「ハイパーコネクテッドクラウド」を支えるコア技術の開発を加速するため、新たに「システム技術研究所」や「知識情報処理研究所」、「応用研究センター」を設置した。
17件の開発成果を披露
富士通研究所は2015年4月2日、神奈川県川崎市の本社で、研究開発戦略説明会を開催した。「ハイパーコネクテッドクラウド」を支えるコア技術の開発を加速するため、新たに「システム技術研究所」や「知識情報処理研究所」、「応用研究センター」を設置した。同時に、2014年度の主な研究成果として、「200Gbps(ビット/秒)で通信パケットを監視しながら品質解析するソフトウェア」など、17件を公開した。
富士通研究所は、富士通グループでICT(情報通信技術)の先端研究/開発を担っている。「人・情報・インフラを活用してイノベーションを創出する」という富士通のビジョン「ヒューマンセントリックイノベーション」に沿って、その実現に必要となる技術開発に取り組んでいる。富士通研究所の社長を務める佐相秀幸氏は、「中長期的な視野に立って、新しい市場にICTをどのようにして浸透させていくかが、当社のミッションである。その開発成果は富士通グループに還元していく」と話す。必要に応じて国家プロジェクトへの参画や大学・研究機関との共同研究も行っていく方針である。
研究開発費の2割は10〜20年先を見据えたテーマに
研究開発投資の配分は、「長期・戦略研究」向けが全体の20%である。10〜20年後を見据えて富士通研究所がテーマを策定する。この中には、将来大きなブレークスルーにつなげる技術と位置付ける「先端基礎研究」と、新しいビジネス領域やビジネスモデルの探索に向けた「応用研究」がある。中期的なレンジの「先端研究」向けは50%を占める。単独あるいは複数の事業部門と連携し、事業拡大や競争力強化に向けた先行開発を行う。開発成果は順次、関連事業部門へ移管する。残りの30%が事業に直結する「事業化研究」となる。
研究テーマの方向性も明確だ。人(人・情報・モノをつなぐハイパーコネクテッドネットワーキング)、情報(クラウドと連動する安心・安全な知能コンピューティング)、そしてインフラ(ハイパーコネクテッドクラウドを支える統合インフラ)と、3つの軸を研究領域として、基礎研究や応用研究に取り組む。
研究体制を再編
研究体制については、組織の新設や再編を行った。新設したのは、システムエンジニアリングの研究機能を統合した「システム技術研究所」、ビッグデータや人工知能などの研究機能を集約した「知識情報処理研究所」、新たな領域や市場を、技術とビジネスモデルで創出していく「応用研究センター」の3部署である。
特に、応用研究センターの傘下には、さらなる成長が見込める領域を対象とする「自動車研究所」、「次世代医療研究所」、「ソーシャルイノベーション研究所」、人の生活や活動に関わる新しい領域を対象とした「ライフイノベーション研究所」、「ロボティクス推進室」を置く。佐相氏は、「応用研究センターで行う大半の研究は、富士通グループの事業部門とタイアップして取り組むことになる。グループ内で共同研究できない案件については、どのように対処していくかを議論しているところだ」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.