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IGZOを超える「有機半導体」、分子設計からトランジスタまで日本発の新技術移動度10cm2/Vsを実現(4/5 ページ)

シリコンでは実現できない新しい機能性有機材料を東京工業大学の半那純一教授、飯野裕明准教授のグループが開発した。大きく3つの成果があるという。低分子系有機トランジスタ材料で耐熱性と成膜性を実現したこと、多結晶膜で高い移動度を得たこと、2分子層構造を利用して高移動度が実現できたことだ。

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液晶の特別な相を利用

 低温プロセスを実現でき、耐熱性も備える。このような有機半導体を作りだすカギは液晶が備える多様な「相」を利用することだ。これが半那氏の着想である。

 液晶ディスプレイでは、電圧の印可によって液晶分子の並び方が変わることを利用している。液晶分子は温度によっても分子の並び方が変わる。高温では無秩序な等方相をとり、低温では3次元に規則正しく並ぶ結晶相をとる。

 半那氏が注目したのは、この2つの相の中間にあるスメクチック相だ。「スメクチック相には分子が1層に並び、層内では無秩序な状態をとるものから、層内で秩序があり、層間でも秩序が見られるものまで多様な状態がある(図8)。層間に秩序があるものは結晶として扱われることもある。今回の研究ではスメクチックE相(SmE相)を利用した」(半那氏)。


図8 多様なスメクチック相 上段は結晶性が薄く、下段は結晶性が強い 出典:東京工業大学

 今回開発した材料のSmE相は液体のまま、210℃まで安定だ。耐熱性がある。

 SmE相は層がきれいに並ぶ。平たん性が高くなり、均一な膜を形成できる。図9は110℃でスピンコート法によって作製した多結晶薄膜の観察像だ。顕微鏡像(左上)と共焦点レーザー顕微鏡像(右上)だ。原子間力顕微鏡を利用して測定した高さ(左下・右下)からは、分子サイズ(2.6nm)ごとの「階段」が見えており、多結晶のそれぞれの結晶ごとに平たんになっていることが読み取れる。


図9 平たんな多結晶薄膜 出典:東京工業大学、Nature Communications

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