NXPとの合併準備は順調――Freescale CEO:2015年最初の大型M&A案件(4/4 ページ)
NXP SemiconductorsによるFreescale Semiconductor買収のニュースは、半導体業界で大きな話題となった。現在両社は、合併に向けて着々と準備を進めているという。FreescaleのCEOであるGregg Lowe氏に、NXPとの合併について詳細を尋ねた。
Freescaleの業績
今後合併が完了するまでの間、両社は引き続き、独立した企業として運営していく。Lowe氏は、「Freescaleは今後も、売上高を増加させたことや、10四半期連続で利益率の増加を達成したという実績を心に留めておきたい」と述べている。
Freescaleの売上高は、2015年4月3日を末日とする2015年第1四半期は11億7000万米ドルに達した。2014年第4四半期が11億米ドル、2014年第1四半期が11億3000万米ドルだった。営業利益については、2014年第4四半期には1億7800万米ドル、2014年第1四半期には1億5500万米ドルだったが、2015年第1四半期には1億7900万米ドルに増加している。
Lowe氏は、「Freescaleの製品売上高は、前年比で6%増加している。2015年第1四半期も、市場シェアの拡大を維持しながらスタートを切ることができた。また、当社の利益率は、3四半期連続で過去最高を記録している」と述べる。同氏は最後に、「利益率や市場シェアが継続的に拡大していることや、借金投機の停止を行ったことなどが推進力となって、利益の大幅な増加を実現することができた」と結論付けた。
またLowe氏は、「さらに広い観点から見ると、われわれが製品ラインアップの拡充に向けて行っている研究開発への投資により、当社の製品ライン全体において過去最多となるデザインウィンが生み出されている」と付け加えた。
Freescaleは、製品ポートフォリオ全体においてデザインウィンの獲得数が増加したと発表した。Lowe氏によると、同社のマイコン事業は、ウェアラブル機器やコネクテッドデバイス、IoTなどの分野において大きな成長を遂げたという。同氏は、Freescaleが業績を伸ばしている要因について、「当社の事業は、ノートPCやコンピュータ、携帯電話機などとの関連性がないためだ」との考えを示している。
Freescaleは、2015年後半に買収手続きが完了する見込みだとする一方で、2015年6月には、同社主催の技術フォーラム「Freescale Technology Forum(FTF)」を開催する予定だ。
Lowe氏は、「FTFは、Intelの開発者向け会議『Intel Developers Forum』のようなものであり、当社の2000社を超える顧客企業が集う、素晴らしいイベントになるだろう。一部の製品部門のプレゼンテーションの中で、NXPとの合併後に何が起こり得るのかについて、詳しく説明したいと考えている」と述べる。
ネットワークプロセッサ事業は?
EE TimesはLowe氏に対し、NXPとの合併後にFreescaleのネットワークプロセッサ事業がどうなっていく見込みなのかを質問した。Clemmer氏は、両社の合併発表に伴い、EE Timesが2015年3月に行った1対1のインタビューの中で、「Freescaleのネットワークプロセッサ事業は、NXPにとっては最もなじみの薄い部門である。しかし、Clemmer氏は今後、同事業に対する理解を深めてくれるだろう」と語っている。
Lowe氏は、合併手続きの完了後にFreescaleを去る予定であることから、新生NXPのシニアマネジメントチームの一員にはならないという。同氏は、今後の予定について問われると、「まだ膨大なチャンスが広がっているため、リタイアするつもりはない」と答えている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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