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IntelのAltera買収は成功するのか――Xilinxの存在感が増す可能性もアナリストたちの見解は(3/4 ページ)

Intelにとって過去最大規模となったAlteraの買収。x86プロセッサとFPGAを統合することで、新しい製品の開発や、これまでにない分野を狙える可能性はある。Alteraにとっては、Xilinxからシェアを奪うきっかけになるかもしれない。一方で、今後AlteraとのビジネスにIntelが絡んでくることに不安を抱く既存顧客が、Xilinxを頼るようになるのではないかと見るアナリストもいる。

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167億米ドルは高過ぎる

 何人かのアナリストは、Intelがどのように7%の売上高増加を実現するのかについて質問した。別のアナリストは、「7%という数字は妥当とは思えない」と述べている。「Intelは、同じ金額で同社の株を買い戻した方がよかったのではないか」と述べるアナリストもいる。一方でドイツ銀行のアナリストを務めるRoss Seymore氏は、「われわれは、Alteraの買収は、だいぶ高くついたが、Intelにとって良い戦略的資産になると見ている」との見解を述べる。ただ、「2016年までに売上高の増加は最大3%くらいになるのではないだろうか。Intelが株を買い戻したとしたら、この増加率はもっと高く(〜10%程度)なるはずだ」と報告した。

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 International Business StrategiesのHandel Jones氏は、「長い目で見れば、株を買い戻すよりも資産を買った方がいい。IBM同様、Intelは既に株を買い戻し過ぎている」と分析している。Jones氏は、「われわれは、買収先としてはBroadcomの方が良かったと考えている。その方がIntelに、より多くの可能性を与えたはずだ。Alteraに167億米ドルの“値札”を付けたのは高過ぎる」と付け加えた。「今後どのようにAlteraの価値を引き出すかがIntelの課題になる。ただ、コストカットは行わないだろう。Alteraの経営状態は良いからだ」(同氏)。

 Alteraの年間売上高は、少なくとも2010年ごろから、20億米ドル付近を維持している。一方で利益は、2010年の7億8200万米ドルから2014年は4億7200万米ドルに減少した。ただ、この減少幅は、売上高が、2010年の430億米ドルから2014年の559億米ドルに増加したIntelにとっては、痛くもかゆくもないはずだ。なお、売上高は増加しているが、同期間の利益については110億米ドル付近で横ばい状態となっている。

 Intelは、買収後は、コストカットを行うのではなくAlteraに投資したいようだ。これは、Avago TechnologiesによるBroadcomの買収や、NXP SemiconductorsによるFreescale Semiconductorの買収とは、正反対になる。この2件では、利益を上げるべく大幅な人員削減が行われる見込みだ。

 Intel CFOのSmith氏は、「当社は、Alteraの事業を強化できると考えている」と述べる。「われわれは、ビジネスモデルを大幅に変えるつもりはない。当社はAlteraのビジネスモデルを好ましく思っている。だからこそ買収を持ちかけたのだ」(Smith氏)。

 Intelは買収発表のプレスリリースで、AlteraはIntelの事業部の1つとなり、既存および新規顧客の売り上げとサポートを続けると述べている。さらにIntelは、AlteraのARMベースのSoCや電源製品の開発をサポートしていく予定だ。

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