新生Broadcomに向け準備着々、一部事業売却の可能性も?:ビジネスニュース 企業動向(1/3 ページ)
Broadcomを370億米ドル(約4.6兆円)で買収するAvago Technologies。両社は買収に向け着々と準備を進めている。製品群での重複はほとんどないとしながらも、取引完了後はBroadcomの製品ポートフォリオを詳細に見直し、必要があれば一部を売却する可能性も否めないという。
Avago TechnologiesとBroadcomは、Avagoが170億米ドルの現金と200億米ドル相当の株式を対価にしてBroadcomを買収することで合意した*)。これにより、世界第6位の半導体メーカーが誕生することになる。半導体業界における企業合併としては、過去最大規模となる。合併後の新会社は、主にエンジニアなどの従業員を削減することによって事業の合理化を図り、手続き完了後18カ月以内に、少なくとも7億5000万米ドルのコスト削減を実現できる見込みだとしている。
*)関連記事:アバゴがブロードコムを約4.6兆円で買収、社名は「Broadcom」を継承
新会社の社名は「Broadcom」を継承し、現Broadcomの共同創設者であり、チーフテクノロジストを務めるHenry Samueli氏が、新BroadcomのCTO(最高技術責任者)に就任する。Samueli氏は、アナリストとの電話会議において、取引が予定通り2016年4月に完了することを見据え、両社のエンジニアチームを統合していく上での方向性について語った。
同氏は、「Broadcomは、SoC(System on Chip)分野に注力することにより、製品シリーズ全般においてさまざまな種類の重要なIP(Intellectual Property)開発に取り組んできた。AvagoもSoC製品をいくつかそろえているが、SoC以外の事業部門については完全に独立運営している。このため、BroadcomのSoC関連の取り組みを、Avagoのモデルに一部組み込むことができると考えている」と述べる。
また同氏は、「買収手続きが完了すれば、集約/整理できる分野とできない分野とを判断できるようになるだろう」と付け加えた。
ここで、「両社の幅広い製品シリーズがそろうことにより、どのようなチャンスが見込めるのか」という点について疑問が湧く。経営幹部たちは、「AvagoとBroadcomは、Appleの『iPhone』からイーサネットスイッチ、セットトップボックスに至るまで、あらゆる製品に搭載される部品を取りそろえている」と繰り返し主張している。それでも両社は、実現の可能性を示すための土台を追求していかなければならないはずだ。
AvagoでCEO(最高経営責任者)を務めるHock Tan氏は、新BroadcomでもCEOに就任する予定だ。同氏は、「こうした課題にどのように対応すべきかを予測するには、まだ時期尚早なのではないか。最も重要なのは、持続可能な成長の実現だ。控えめに見積もっても、5%の売上高成長率を維持したいと考えている。しかし、われわれが複数の持続可能な事業領域に属しているとみなすならば、確実に達成可能な目標だといえる」と述べている。
Tan氏は、60%を超える粗利益率を維持できる見込みだとしている。同氏は、「新会社の投資規模を拡大することにより、目標達成に向けて勢いを加速させることができる」と述べる。
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