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ウェアラブルは“変曲点”に、課題はビジネスモデルの構築かビジネスニュース 業界動向

米国で、ウェアラブル機器に関するパネルディスカッションが行われた。業界関係者からは、「医療向けのウェアラブル機器は、現在の医療制度を混乱させる可能性も、劇的に向上させる可能性も、どちらも秘めている」「ビジネスモデルをどう構築すべきなのか」「ウェアラブル機器は、変曲点を迎えている」などの意見が聞かれた。

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 「ウェアラブル機器は、データを長期間にわたって提供したり分析したりすることで、現代の医療制度を著しく混乱させる危険性も、劇的に向上させる可能性も秘めている。しかし、こうした変化が起こるのは、かなり先のことだと考えられる。医療制度の改革には、医療やWebサービスに関する新たなビジネスモデルを構築する必要があるからだ」。

 2015年6月2日(米国時間)にChurchill Clubが主催したウェアラブル技術に関するパネルディスカッションに参加した専門家からは、こうした意見が聞かれた。なお、Churchill Clubは、米国シリコンバレーを拠点にビジネス・技術フォーラムを開催する非営利団体である。

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JawboneのYves Behar氏

 リストバンド型フィットネストラッカー(活動量計)を手掛けるJawboneでチーフクリエイティブオフィサー(CCO)を務めるYves Behar氏は、「医療は、ウェアラブル機器によって変わると確信している。ここでいうウェアラブル機器とは、データを収集して分析し、何らかのサービスを提供する機器を指す。われわれは時流に乗っていると自負しているが、目指す道は長く険しいものになりそうだ」と述べている。

 同氏は、「健康データを連続的に収集することは、利用者のライフスタイルを向上するためにアドバイスを与える際に役に立つ。このデータを医療に適用すれば、より大きな効果が期待できる」と述べる。

 Behar氏は、「年に1度の健康診断を受けた際に、安静時の心拍数など、1年間に収集した全てのデータを見てもらいたいと医師に申し出た」という。同氏は、「医療現場でデータが有効活用されないのであれば、独自の活用法を見つけたり、データの分析結果を提供する会社を立ち上げたりする他ないだろう」と述べる。同氏は現在、新たな企業を立ち上げるために水面下で5000万米ドルもの資金を集めたという。

課題はビジネスモデルの構築

 Intelの新製品部門でゼネラルマネジャーを務めるMike Bell氏は、「健康データの収集し、それを掛かり付け医へに送信することについて、ビジネスモデルをどのように構築するのか、確かな答えはまだ見つかっていない。われわれに必要なのは、データを収集してそれを安全に管理する、スイス銀行のように信頼性の高い組織だ。収集したデータを基に、広告を掲載するような企業ではない」と述べる。

 Bell氏は、「もしウェアラブル機器の企業を立ち上げる資金として2000万米ドルあれば、ヘルスケア関連の企業を設立する」と述べる。「病気になってから処置するよりも、予防する方が治療費を安く抑えられる」(同氏)。

 Behar氏もBell氏の意見に賛同している。Behar氏は、「社員への福利厚生としてフィットネスクラブの会員資格を提供している企業もあるが、それよりもフィットネストラッカーを配るほうが高い効果が期待できる。保険会社や病院では既に、フィットネストラッカーの配布を始めているところもある。だが、フィットネストラッカーの利用を促進する方法については、まだ検討が始まったばかりだ」と述べている。

 フィットネストラッカーのメーカーであるMisfitの商用開発部門でバイスプレジデントを務めるJustin Butler氏は、15年前に設立された医療保険のスタートアップ企業であるOscarの事例を挙げた。同社は、顧客全員にヘルストラッカーを提供する計画だという。「ただ、彼らの主な目的は、データを集めてそれをビジネスに生かすというよりも、アプリを使って手軽に健康データを取ることだ」(Butler氏)。

ウェアラブル機器は“変曲点”に

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Lumo BodyTechのMonisha Perkash氏

 活動量計を手掛けるLumo BodyTechのMonisha Perkash氏は、「現在のヘルスケアシステムは、ビッグデータを取り扱うところまでいっていない。医師は何年も蓄積されたデータを見たがらない」と語る。

 同氏は、近い将来、ウェアラブル機器が、職場やスポーツでのケガの防止の他、ゲームをしている子どもなどに使うようになるのではないかと推測している。「例えば、ゲームをしている子どもに、姿勢が悪くなっていることを伝えるといった用途が挙げられる。現在、ウェアラブル機器は変曲点にあると思う。単に目新しいガジェットから、さまざまな分野で必需品になるかもしれない」(同氏)。

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【滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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