壊れにくい抵抗器、小さいディスクリート――独自色打ち出し、国内車載市場へ浸透へ:ビジネスニュース 企業動向(1/2 ページ)
米国のビシェイ・インターテクノロジー(Vishay Intertechnology/以下、ビシェイ)は、車載分野を中心に日本でのビジネス拡大に注力している。競合が多く存在する中で、独自性のある製品を前面に打ち出し、新規ユーザーの獲得に努めている。
「全てのティア1と」
「日本国内における車載向けビジネスは好調だ。競合と製品面で差別化できている点が功を奏している。車体制御関連の国内ティア1企業の全社と取引があるといえるほど、浸透している」(ビシェイ・ジャパン社長 小澤政治氏)。
米国のビシェイ・インターテクノロジー(Vishay Intertechnology/以下、ビシェイ)は、個別半導体/受動部品メーカーだ。ダイオード/パワーMOSFETといった個別半導体から、抵抗器、コンデンサ、インダクタなど幅広く手掛ける。これら製品分野はいずれも、日本に強力な競合が存在する市場。外資系メーカーにとって参入障壁は高いはずだ。しかしながら、より障壁の高い自動車分野で、「全てのティア1と取引がある」というほどに、国内市場に根ざしているという。
競合がひしめく国内で採用を伸ばせてきた理由は、“独自性”だ。
ビシェイの日本でのビジネス獲得の1つの流れはこうだ。他社にないビシェイ独自の製品を数多くラインアップ。そして、ADAS(先進運転支援システム)など新技術導入に積極的な欧州車載市場で採用実績を積む。すると、欧州勢のECU(電子制御ユニット)に実装されているビシェイのデバイスを見た国内電装品メーカーから引き合いを得る。他に類似製品がないからこそ、ビシェイ・ジャパンに問い合わせが来るのだ。
追従を受ける独自パッケージ
ビシェイの独自性の1つが、パッケージ技術にある。例えば、車載用パワーインダクタ「表面実装メタルコンポジットインダクタでは最大の定格電流(最大180A)を実現した」という「IHLPシリーズ」などをそろえるとともに、電界シールドを施した「IHLEシリーズ」をリリースした。磁界シールドされたパワーインダクタは多いが、電界シールドは珍しい。IHLEは、磁界/電界双方のシールドを実施。これまで回路ブロック単位、基板単位で行っていた大規模な電界シールドを簡略化できる。
ディスクリート半導体でも独自パッケージがそろう。ディスクリート半導体は、業界標準パッケージ採用品の需要が根強い一方で、大電流対応、さらなる小型化に向けたニーズも存在する。そこで、ビシェイは、業界標準パッケージ品と並行して、独自の大電流対応表面実装パッケージを開発。パワーMOSFETでは、D2PAK、DPAKといった標準的パッケージと同等の大電流に対応した6×5mmサイズのSO-8やSO-8Lパッケージを開発。ダイオードでも、大電流対応ながら小型というコンセプトのeSMPシリーズをラインアップ。「サイズ重視の顧客で採用を伸ばしている。ビシェイ独自パッケージながら(競合の中に)追従の動きがある」とし、将来的には独自パッケージが標準パッケージになる可能性も秘める。
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