既設ケーブルがフル活用できるIoT向けマルチホップ対応の高速電力線通信が登場:PLCは進化していた!(1/3 ページ)
メガチップスは2015年6月、IoT用途向けにマルチホップ通信に対応した独自PLCを開発し、同PLCを実現する通信用LSIを発表した。十数Mビット/秒の高速通信が行える技術で、既存ケーブルを有効活用できる通信技術として幅広く提案する。
無線では心もとないけど、ケーブルを引き回さずに高速通信したい。
ビルや工場、家庭で、さまざまなIoT(モノのインターネット)を実現しようとする際、問題になるのが通信手段だ。コストを掛けず、それでも、安定した高速通信を行いたいというニーズは今後、増えてくる見込みだ。
そうした中で、IoTの通信手段として、電力線通信(PLC)を提案する企業が現れた。大阪市に本社を置くファブレス半導体メーカー、メガチップスだ。
PLCといえば、2000年代後半、新たなインターネット接続手段として一躍注目を集めた。家中張り巡らされた電力線をイーサネットケーブル代わりに使え、コンセントにつなぎさえすれば、インターネットが行える――。聞く限りでは、便利なPLCだったが、結局のところ、現状ではほとんど普及していない。コンセントと、ルータやPCといった接続機器の間にPLCとイーサネットを変換するPLCアダプタが不可欠で、なおかつ、比較的近い距離でしか安定して高速通信が行えない当時のPLCは、手軽で急速に安価になっていった無線LANに押された格好だ。
PLCは進化している
PLCが登場したころを知る者にとっては、もはや「過去の技術」と言わざるを得ない状況だ。しかし、メガチップスは、IoTの通信手段の1つとして、PLCを選択した。
メガチップスは「PLCが話題となった6〜7年前からPLCは大きく進化した」という。
高速PLCの代表的な規格「IEEE1901」ベースの「HD-PLC」は、現在、第3世代にまで進化した。世間の注目を集めた第1世代に比べ、第3世代は、UDPスループットが最大40%向上し、送信出力が約4.6倍向上したという。言い換えれば、よりノイズの劣悪な環境や長い通信距離でも、安定した通信が行えるようになったとする。「1本の銅線であれば、200m程度まで通信が可能。実効速度数十Mビット/秒(bps)の高速通信が行える範囲は格段に向上している」と言い切る。
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