3D XPointの製造プロセスは「20nmからスタート」:謎のメモリについてIntel/Micronに問い合わせた
EE Times Japanではこのほど、Intel/Micronが発表した不揮発性メモリ「3D XPoint」に関しての疑問を、両社の広報担当に問い合わせたところ、「20nmのプロセスノードで製造している」との回答を得た。
謎が多い3D XPoint
Intel(インテル)とMicron(マイクロン)が2015年7月に発表した不揮発性メモリ「3D XPoint」。
「NAND型フラッシュメモリよりも1000倍高速で、DRAMよりも8〜10倍、記憶密度が高い」など同メモリの優位性は説明されたものの、詳細な構造やスペックに関しては明らかにしなかった。そのため、3D XPointとはどのようなメモリなのか、さまざまな臆測が広がっている状況だ*)。
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そこで、EE Times Japanでは、Intel/Micron両社の本社広報担当者に、これまでの会見や報道発表資料で明かされてこなかった内容を中心に3D XPointに関する質問を投げ掛け、このほど回答を得た。
さらなる積層も可能
その中で、両社担当者から明確な回答を得ることができたのが、3D XPointが採用するプロセスノードだ。両社ともに「20nmのプロセスノードで製造している」とした。現状、2層としているメモリセル構造は、何層まで積層可能かを聞いたところ、Intelの担当者は「層の追加は、複数世代にわたる微細化に応じて、成り行きで対応できる」とし、今後複数世代にわたってプロセスノードの微細化、3層以上のメモリセルの積層が可能なメモリ技術であるとした。
「NANDより1000倍高速な書き込みと読み取りを期待」
使用している素材、メモリアーキテクチャに関しては、「バルク材料の抵抗の変化を通じて動作する。選択されたメモリセルの抵抗値に基づいて“1”ないし“0”を区別する」という従来通りの説明にとどめた。
NAND型フラッシュメモリよりも1000倍高速とする速度面について、Intelの担当者は「現時点で詳細は開示していない」と前置きしつつも「NANDフラッシュよりも、1000倍高速な書き込みと読み取りを提供することが期待できる」とした。書き換え回数に関しても「NANDよりも1000倍の耐久性」とし、具体的な数値には言及しなかった。
その他、高温の周囲温度での使用が見込まれる車載用途で使用できるかどうかについては、両社とも「できる」と明言した。
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