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ニコンが展望する10nm以下のリソグラフィ技術(前編)SEMICON West 2015リポート(2)(3/3 ページ)

本稿では、リソグラフィ技術の将来を14nm世代から5nm世代まで展望するシンポジウムにおける、ニコンの講演内容を紹介する。同社は、10nm世代にArF液浸露光技術を適用する場合、2つの大きな課題があると指摘した。「EPE(Edge Placement Error)」と「コストの急増」だ。

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レチクルとレンズが加熱されて変形

 半導体デバイスの量産過程では、オーバーレイ誤差が変動する。変動要因はスキャナーのレチクルとレンズである。露光によってレチクルとレンズが加熱され、変形する。加熱量は、露光量(ドーズ量)に比例する。

 レチクルの透過率も、レチクルとレンズの加熱量を左右する。レチクルでは、レチクルの透過率を「η」とすると、「1マイナスη(1-η)」にも比例する。またレンズでは、加熱量が「η」に比例する。言い換えると、レチクルの加熱量とレンズの加熱量はトレードオフの関係にある。

 この量産中における変形量は、計算によって補正できる。最初のロットで補正した量(変形量)などのデータを次のロットで利用することで、連続したロットでオーバーレイ誤差を低く抑えることも可能である。

 ニコンでは計算による補正をさらに進化させた。ロットの途中で誤差を測定し、レンズを微妙に動かして補正をかける。この考え方の弱点は、補正の実行によってスループットが低下することだ。ニコンは通常が250枚/時間のスループットを有するスキャナーに対し、補正を実行しても240枚/時間のスループットを維持する技術を開発した。ニコンではこの技術を「高速マルチポイントPMI(Phase Measurement Interferometry)」と呼んでいる。


レチクルとレンズの変形によるオーバーレイ誤差を補正する (クリックで拡大)

(後編に続く)

後編はコチラから

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