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スモールセル向けORIは“使える規格”――富士通「NIWeek 2015」 相互運用性の実証で(1/3 ページ)

スモールセルを構成する基地局とリモートラジオヘッド(RRH)間の通信には、Open Radio Equipment Interface(ORI)という比較的新しい規格が存在する。そのORIが“実際に使える規格”であることを証明したのが富士通だ。National Instruments(NI)のイベント「NIWeek 2015」にて、富士通の取り組みを聞いた。その他、同イベントで行われたNokia Networksのミリ波通信と、Samsung ElectronicsによるFD-MIMOのデモも紹介する。

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 5Gなど次世代通信規格を含む無線通信は、National Instruments(NI)が注力する分野の1つだ。同社は、さまざまなメーカーと提携している。例えば、Nokia NetworksやSamsung Electronicsとミリ波通信やMIMO技術で協業している他、富士通が、国際規格Open Radio Equipment Interface(ORI)の相互運用性を実証する際にも協力した。

ORIに準拠した機器の相互運用性を実証

 ネットワークの高密度化においてスモールセルに注目が集まっている。スモールセルは、基地局と複数のリモートラジオヘッド(Remote Radio Head:RRH)で構成されていて、通信事業者にとっては、いかにRRHを安く購入できるかが重要になり、通信機器メーカーにとっては、いかにRRHを安く大量に提供できるかが勝負になってくる。

ORIの重要性

 RRHをいかに安く提供できるか。その鍵を握っているのが、基地局とRRHを接続する国際規格Open Radio Equipment Interface(ORI)である。一般的に基地局とRRHは、CPRI(Common Public Radio Interface)に準拠した光ファイバーで接続されている。ただ、CPRIは物理層に近い低層の仕様については定義しているが、その上位層に当たるコマンドセットについては定義していない。そのため、コマンドセットについて通信機器メーカーがそれぞれ独自の仕様を採用すると、基地局とRRHのメーカーが異なる場合、通信できないケースが発生してしまう。つまり、通信事業者は基地局とRRHを同じメーカーからしか購入できなくなり、いわゆる“ベンダーロックイン”を招く。

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基地局(BBU:Base-Band Unit)とRRHを組み合わせたネットワーク(クリックで拡大)

 これを回避すべく策定されたのが、ORIだ。ORIでは、低層だけでなくコマンドセットなどの上位層も含めた標準化を目指している。ORIが普及すれば、メーカーを問わずに基地局とRRHが通信できるようになるので、通信事業者にとっては、機器の選択肢が増えるというメリットがある。さらに、機器メーカーにとっては、基地局とRRHどちらかだけで勝負することもが可能になる。

 富士通のネットワークプロダクト事業部 ワイヤレスシステム事業部 シニアマネージャーを務める山口和彦氏は、「同社は、基地局とRRH間のインタフェースは(標準化によって)オープンであるべきだと考えている。そうなれば、基地局とRRH両方について、適材適所でいい物を使えるようになっていくはずだ」と述べる。

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