Rambus、ファブレスチップ市場に参入:“Rambus 3.0 ビジネスモデル”(2/2 ページ)
メモリ技術のIP(Intellectual Property)事業を柱としてきたRambusが、大きな方向転換を図った。サーバ用メモリインタフェースチップセットを、IPでなく“実際のIC”として提供しようというのである。この動きは、3つの点で重要だと考えられる。
メモリ事業へ回帰
そして現在、メモリ事業へ回帰しようとしている。高速メモリインタフェース設計における技術的な専門知識を生かすことで、メモリがボトルネックとなっているデータセンターの問題を解決していきたい考えだ。
Rambusによると、今回発表した新型のDDR4 RDIMM/LRDIMMチップセットは、速度や信頼性、電力効率の向上を実現したことにより、サーバ用メモリ性能を大幅に高めることに成功したという。同社は、米国サンフランシスコで開催されている「Intel Developer Forum 2015(IDF 2015)」(2015年8月18〜20日)において、サーバ向けDIMMチップのデモを披露している。
Rambusにとって、サーバ用メモリインタフェース市場における競合企業は、IDTやMontage Technology、Inphiなど、ほんの一握りにすぎない。では、Rambusが提供できて、競合には提供できないものとは何か。Moor Insights & Strategyのプレジデント兼主席アナリストを務めるPatrick Moorhead氏は、EE Timesに対し「Rambusは、より高い性能と品質を備えたハイスピードメモリを提供できるだろう」と述べている。「DDR4は技術的な課題が多く、特にサーバベンダーとサーバ用メモリベンダーは、高性能かつ大容量のメモリを求めている」(同氏)。
ファブレスチップ企業への移行
IPビジネスで成長してきたRambusのような企業にとって、実際にチップを製造するビジネスに参入するというのは、大きな飛躍だ。同社の行く手には、どんな課題があるのだろうか。
Moorhead氏は、「製品テストのレベルが課題となるだろう。これは、IPビジネスにはないものだ。ただ、Rambusがチップ製造を始めるということは、ハードウェアのデバッグを行える手段を見つけたということだろう」と述べた。
さらにRambusは、サーバ用メモリインタフェースチップ市場にも参入しようとしている。今後のサーバシステムで使われるメモリ技術に同社の強みを生かせると、同社が確信しているからだろう。
Rambusは今後、DDR4以降の速度に対応していく予定だと発表している。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- インテルが3D XPointをデモ、SSDは2016年に
インテルが、開催中の「IDF 2015」で、2015年7月に発表したばかりの不揮発メモリ技術「3D XPoint」を使ったSSDのデモを披露した。デモでは、40万2100IOPS(Input/Output Per Second)の処理性能が出ていた。 - SSDの内部構造と動作をみる
SSDの重要な部品として、NANDフラッシュメモリ以外に、SSDコントローラやバッファメモリが挙げられる。今回は、SSDコントローラの役割を軸に、SSDの動作を説明しよう。 - 東芝、SSD並みの性能を実現する組み込みNANDメモリ用コントローラ開発
東芝は、組み込み式ストレージメモリ標準規格である「JEDEC Universal Flash UFS Version 2.0」などに準拠し、「世界最高速」(同社)というUFSメモリコントローラを開発した。従来コントローラに比べ、ランダムリード性能で約10倍の性能を達成したという。 - CypressとSpansionの合併会社、1600人を解雇へ
2015年3月12日(米国時間)に経営統合の完了を発表したCypress SemiconductorとSpansionが、1600人の人員削減を行うと報じられた。