ダイエットへの欲望は“種存続の危機”に勝るのか:世界を「数字」で回してみよう(18)(2/8 ページ)
痩せすぎは出産リスクを高める可能性があると考えると、ダイエットとは、「種の存続を危機にさらす可能性のあるもの」以外の何物でもない気がします。それなのに、なぜ、現代人は「痩身=美しい」と認識するのか。今回は、読者の皆さまからいただいた10の仮説を検証したいと思います。
全ての数値が「やせればモテる」を示している
こんにちは。江端智一です。
前回、私は、「ダイエットをしている状態の体は美しいか?」という仮説を、データを使いながら検証していきました。
そして、「『美しい』を客観的に判断するのは難しい」とした上で、「ダイエットをしている状態の体型に『商品的価値』があること」を明らかにしました。
そもそも「痩せる」ことはとても難しいので、その商品の数は少ないです。つまり「希少価値」があるということです。例えば、一般人の参入が困難な芸能界においては、ほとんどの商品(女優、女性タレント、アイドル)は痩せています。「痩せた体型」というのは、まるで、需要に対して供給が圧倒的に少ない、レアメタルの取引市場の商品のようです。
「痩せれば、モテ(やすくな)る」 ―― 全ての数値データは、その事実を示しています。
その一方で、種の保存法則に基づいて考えると、「ダイエットをしている状態の体型に商品的価値があること」は、まったく矛盾した話になるのです。
過度な痩身ダイエットは、出産リスクを高めます。BMI=18.5以下でもリスクがあると言われていますが、私が作った推論エンジンでは、アイドルグループAKBメンバーの50%以上が、それよりも低い、BMI=17.5以下という結果を叩き出しています(女優、女性タレントもほぼ同程度)。
上図は、前回ご紹介した、一般人と芸能人のBMIの散布図です。どう見たって、一般女性の方が出産リスクは小さいです。種の保存法則から見れば、芸能人の女性やAKBグループのメンバーは、出産リスクの高い対象として避けられる存在であるはずです。
しかし、多くの女性がそのスタイルに近づきたいと願い、多くの男性が、そのような女性を求めているのです。
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