IoTで作る、“感情的なつながり”を深める家:英新興企業が提案(1/2 ページ)
家電を相互に連携することだけがスマートホームではない――。英国の新興企業は、「エモーショナルホーム(emotional home)」というコンセプトの下、“感情的なつながり”を深めることに重点を置いたIoTプラットフォームの提供に力を入れている。
私たちはこれまで、IoTに関するたくさんの製品や宣伝文句、アプリケーションを見てきた。IoTはキッチンから工場、高速道路、農場まで、あらゆる場面での活用が期待されている。
だが、筆者の心を捉えたのは、先日出会った「IoTで実現する“エモーショナルホーム(emotional home)”」というフレーズだった。
“感情的な”つながりを深める家
このフレーズが訴求するのは、時間を節約したり、物事を便利にしたりすることだけではない。エモーショナルホームとは、エンドノードデバイスやクラウドサービスを含めたIoT技術を活用して、乳児やペット、高齢者との感情的なつながりを深められる家だ。
デジタル技術を活用した“エモーショナルホーム”を目指すのは、1958年創業の通信機器メーカーBinatoneだ。このコンセプトの陰には、Kanwar Chadha氏の存在がある。
香港とロンドンに拠点を置くBinatoneは、特に英国やその他の欧州諸国、インドで、コードレス電話やベビーモニター、ナビゲーション機器などの小型のパーソナルエレクトロニクス製品のブランドとして広く知られている。
スマートフォンにGPSが搭載されるようになった経緯を覚えている年代の人であれば、Chadha氏の名前を耳にしたことがあるかもしれない。Chadha氏は、1995年創業の米国のSiRF Technologyの創設者であり、“民生機器向けGPS”のパイオニアだ。当時、民生機器にGPSを搭載するのは愚かで危険なことと考えられていた。
Chadha氏は2015年4月に、Binatoneのエグゼクティブチェアマンに就任した。
Binatoneは2015年9月2日、LenovoからMotorola Mobilityのアクセサリのライセンス権を取得した。これは同社にとって、世界的な事業拡大に向けた新たな一歩だという。
Binatoneは2008年からMotorola Mobilityとパートナーシップを結んでいて、ベビーモニターとホーム/ペットモニターの公式ライセンシー(ライセンス利用者)である。新たな契約では、ライセンス製品のポートフォリオに、モノラル/ステレオBluetoothヘッドセット、ワイヤレススピーカー、カーコネクティビティ製品が追加されるという。
これは重要なことなのだろうか。
Chadha氏はEE Timesに対して、「Binatoneは2014年後半に、IoT企業への転換を決断した」と語った。
だが、ガジェット市場に参入する企業であれば、IoT技術を活用した“スマートでつながった”製品の1つや2つをそろえるのは当然のことだ。世界最大の家電ショーである「International CES」では2000年以降、スマートサーモスタットやドアロック、家庭用監視カメラなどのIoT製品がブースを埋め尽くしている。ひねくれ者と思われるかもしれないが、筆者は、ここに来て“IoT企業への転換”を宣言することに対して疑問を感じずにはいられなかった。
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