買収で進化したイマジネーションの戦略:GPUコアだけじゃない!(1/2 ページ)
イマジネーション・テクノロジーズは、単体のIPコア事業に加えて、複数のIPコアを組み合わせたIPプラットフォーム事業を強化する。また、独自のハードウェア仮想化技術に対応することで、複数の異種プロセッサを搭載したコンピュータシステムにおいて、高いセキュリティを担保する。
複数IPを組み合わせ
イマジネーション・テクノロジーズは、単体のIPコア事業に加えて、複数のIPコアを組み合わせたIPプラットフォーム事業を強化する。また、独自のハードウェア仮想化技術をサポートすることにより、複数の異種プロセッサを搭載したコンピュータシステムにおいて、高いセキュリティの実現を可能とした。
イマジネーション・テクノロジーズは、グラフィックプロセッサIP「PowerVR」やコミュニケーションプロセッサIP「Ensigma」技術で強みを持つ。それに加えて、CPUコアなどさまざまなIPコアの拡充や、開発環境などエコシステムの整備に注力することで、これらを組み合わせたSoCソリューションを提供するための体制を強化してきた。
2015年9月7日に東京・品川で開催した技術セミナー「Imagination Summit 2015 Tokyo」では、日本のパートナーとのコミュニケーションに重点を置き、同社が提供する「IPソリューション」や、IoT(モノのインターネット)社会を実現するために、解決すべき課題の1つとなる「セキュリティ技術」などについて、最新技術や業界動向を紹介した。
積極的な買収
同社はここ数年で多額の投資を行い4〜5社を買収した。マーケティング担当でエグゼクティブバイスプレジデントを務めるTony King-Smith氏は、「当時はIoTという言葉こそ用いられていなかったが、当社は7〜8年前からあらゆる機器がインターネットにつながる時代を予見していた。そこで、全ての機器を接続するためのソリューションを提供したいと考え、コミュニケーション技術に強みを持つ開発企業などを買収してきた」と話す。
また、2013年2月に買収手続きを完了したMIPSも、IPコアを組み合わせたSoCソリューション事業を展開していくために不可欠と判断した1社だ。イマジネーション・テクノロジーズでは、早くから独自アーキテクチャの組み込み機器向けマイクロプロセッサ「META」を開発し提供していた。その開発力を強化するために、開発リソースも順次増強してきた。こうした中、MIPSアーキテクチャはメインストリームのCPUコアとして、既に市場や顧客から認知されていたことと、事業拡大に不可欠なエコシステムを既に確立していたことなどが、買収する決め手となった。
King-Smith氏は、「CPUコアはSoCソリューションの中核となる技術であり、当社でも継続的に開発体制を増強してきた。MIPSの買収によりCPUの開発チームは人員が倍増した。マルチスレッド技術の開発力も格段に強化することができた。しかも、MIPSコアを加えたことで、完全なSoCソリューションの提供が可能となった」と、事業統合のメリットを強調した。
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