アジア固体回路会議「A-SSCC2015」プレビュー:最先端半導体技術をアジアから発信(1/3 ページ)
2015年11月9〜11日に中国・厦門(アモイ)で開催される「A-SSCC 2015」の概要が明らかになった。IoT(モノのインターネット)社会を具現化していくための集積回路技術などに関する最新の研究成果が発表される。今回のテーマは「ハードウェアセキュリティ」である。
11月中国・アモイで
A-SSCC 2015(IEEE Asian Solid-State Circuits Conference、アジア固体回路会議)運営委員会は2015年9月8日、東京都内で会見し2015年11月9〜11日に中国・厦門(アモイ)で開催する「A-SSCC 2015」の概要を発表した。
A-SSCC 2015は、アジア版ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)と位置付けられる半導体集積回路技術の国際会議である。アジア地域で集積回路技術の最新動向を把握したり、アジアから技術情報を発信したりしていく場を、集積回路設計者に提供している。A-SSCCは今回で11回目を迎える。当初はISSCCへの登竜門として、アジア地域における若手の集積回路設計者を育成するという狙いもあったが、今では、欧米からの論文発表が増加するなど、世界から注目される学会の1つとなってきた。
社会の安全とシリコンシステム
A-SSCC 2015のテーマは、「Securing the Society with Silicon Systems(社会の安心安全とシリコンシステム)」である。新たな企画となる招待講演セッションでは、今回のテーマに合わせて「ハードウェアセキュリティ」をキーワードに5つの講演が予定されている。このセッションでは集積回路の専門家に加えて、セキュリティの専門家ら5人の講師が、それぞれの視点で講演する。IoT(モノのインターネット)社会の実現に向けて、LSIチップそのものの安全性/信頼性を強固なものにしていくためには、ハードウェアのセキュリティを担保することが重要であることを強調する。
A-SSCC 2015は会期中、「基調講演」を始め、「チュートリアル」「パネルディスカッション」、招待講演セッションやインダストリセッションを含む「一般講演」「学生デザインコンテスト」などが予定されている。会見では、A-SSCC 2015組織委員会委員長を務める慶応義塾大学教授の黒田忠広氏や、A-SSCC 2015論文委員長を務める東京大学教授の池田誠氏、及び各技術分野のプログラム委員らが、会議の概要や論文トレンドについて紹介した。
83件を採択
今回は211件の投稿論文があり、このうち83件が採択された。採択率は39%となった。前回(2014年)に比べると投稿件数で41件、採択数で5件それぞれ減少したものの、採択率は4ポイント上昇した。「投稿/採択件数とも減少しているが、試作したシリコンチップの評価を基に研究論文が発表されており、採択された論文は極めて高いクオリティを維持している」(池田氏)と話す。
ただ、採択論文数の76%がアカデミックからの発表で、産業界からの論文数はわずか17%にとどまっている。「かつては産業界からの発表論文数が全体の50〜60%を占める時期もあった。17%という数字は半導体業界にとって望ましい状況ではない。産業界にとって学会はどうあるべきかを見直していく必要がある」(黒田氏)と警鐘を鳴らす。
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