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自動運転車、普及の課題は技術ではない?ビジネスチャンスは大きいが……(1/2 ページ)

ドイツのIT業界団体が行った調査によると、コネクテッドカーや自動運転車をビジネスチャンスと捉えている企業は多く、関連業界はおおむね歓迎モードだという。自動運転車の普及の障壁となっているのは、実は技術的な課題ではないようだ。

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 「ドライバーは、地下の駐車場に止めてあった車をスマートフォンで呼び出せば、後は自動運転制御ソフトウェアがクルマを運転してくれるため、ゆったりとくつろぎながら乗っていればよい」――。ドイツのIT業界団体であるBitkomが、「IAA国際モーターショー2015」(ドイツ・フランクフルト、2015年9月17〜27日)の開催に先立ち、自動車業界の経営トップを対象とした調査を行った結果、このようなシナリオが2〜3年後には現実になる可能性があることが明らかになった。ただし、トップ経営者たちからは、「自動運転の実現を妨げる最大の障害となっているのは、技術ではない」との指摘がある。

 調査結果によれば、回答者全体の48%が、自動運転車は今後15年間で広く普及すると予測している。また全体の2%は、それよりももっと早く普及すると予測する。一方、自動運転技術が一般に普及することはないと懐疑的な見方をしている人の割合は、全体のわずか6%にとどまるという。

 今回の調査結果から、デジタル化によって個々のモビリティ性が根本的に変化し、“クルマでの移動”についても、まったく新しいスタイルが生まれる可能性があることが分かる。

自動車とスマホの融合

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 例えば、自動車とスマートフォンは今後、機能面での融合が進んでいく見込みだ。自動車とスマートフォンを接続することにより、遠隔操作でドアをロックしたり、燃料計など自動車の状態を示すデータを読み取ることも可能になる。Bitkomでプレジデントを務めるThorsten Dirks氏は、「自動車はもはや、単なる移動手段ではない。さまざまなタスクを担う“モバイルデータセンター”としての役割を果たすようになっていく」と述べている。

 未来の自動車は、より高機能な交通網インフラにも統合されていくだろう。例えば、衝突しそうになった場合には、他の自動車との間で瞬時に通信を行い、情報を受信した自動車が自動的にブレーキをかける――。こうした技術によって、交通の流れを効率化し、交通事故や渋滞などを削減できるようになるだろう。調査回答者全体の86%が、「相互接続された交通安全システムにより、今後10年間で、交通事故が大幅に減少すると確信している」と答えている。

 しかし、スマート交通インフラを実現するためには、自動車が現在位置や方向、速度などに関する正確なデータを伝送可能であることが前提条件となる。調査回答者全体の85%が、こうしたデータを自動車から送信することを、法的義務とすべきだと主張している。

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