ルネサス、V2X向け5.9GHz帯無線LSIを製品化:欧州規格の低ノイズを達成(1/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2015年9月29日、欧米の車車間/路車間通信(V2X)で使用される通信規格「IEEE 802.11p」に準拠した5.9GHz帯無線LSI「R-Car W2R」を発表した。
IEEE 802.11p準拠
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2015年9月29日、欧米の車車間/路車間通信(V2X)で使用される通信規格「IEEE 802.11p」に準拠した5.9GHz帯無線LSI「R-Car W2R」を開発したと発表した。同年10月1日からサンプル出荷を開始し、量産は2016年12月を予定している。サンプル価格は3000円。
クルマの安全性、利便性を高める技術の1つとして、V2Xと呼ばれる車車間/路車間通信の実用化が期待されている。既に国内外で、自動車メーカーや電装品メーカー、半導体メーカーなどが連携し、V2Xの実証試験なども実施されている。
V2Xで用いる無線通信としては、欧米では無線LAN規格「IEEE 802.11a」をベースに開発された、5.9GHz帯を利用するIEEE 802.11pが広く利用される見込みとなっている。なお、国内では、760MHz帯を使ったDedicated Short-Range Communication(狭域通信/DSRC)の利用が有力視されている。
90nm CMOSプロセスで1チップに
今回、ルネサスが製品化したのは、自動車にIEEE 802.11pの無線機能を搭載するために必要な無線ベースバンドLSIだ。
RF部と物理層/データリンク層といったデジタル部を90nm CMOSプロセスで1チップに集積。「他社にないサイズ」(同社)という10mm角サイズのパッケージを実現した。
5.8GHzのETCと干渉しない
小型サイズに並ぶ同LSIの特長は、送信帯域外のノイズを抑えた点にある。IEEE 802.11pが使う5.9GHz帯は、欧州のETC(電子料金収受システム)で使用されている5.8GHz帯の近傍であり、互いに干渉する恐れがある。そこで、IEEE 802.11pの無線システムでも帯域外の不要なノイズを極力抑えなければならなくなっている。
そうした中で、欧州の標準化団体ETSI(European Telecommunications Standards Institute)が、送信帯域外雑音を−65dBm以下に抑制しなければならないとする規格を定めている。今回、ルネサスが製品化したR-Car W2Rは、このETSIの規格に定められた−65dBm以下に送信帯域外ノイズを抑制することに成功。「ルネサスが世界で初めて、クリアした」(同社)と強調している。
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